平成26年度芸術選奨の芸術振興部門で文部科学大臣賞を18日に受賞した 山野 真悟さん 中区在住 64歳
好きなことを仕事に
○…「まちとアート」をつなぐムーブメントの先駆者。賞の受賞理由にはそうある。「正直、びっくりした。私の仕事は裏方だから」と受賞の感想を謙虚に語る。かつて250を超える違法な飲食店や風俗店が軒を連ねていた初黄・日ノ出町地区の空き店舗や空き家を舞台にしたアートフェスティバル「黄金町バザール」を2008年からプロデュースし、6回目となった今年度はアジアをテーマにした国際美術展が市内外から高く評価された。
○…東京で美術を2年間学んだあと、生まれ故郷の福岡で友人とふたり、美術教室をはじめた。しかし、当時は作品を展示するにも、会場を借りる費用がない。そこで考えたのが所有者に頼み込んで空き家やオフィスを借り、作品を展示することだった。こうした取り組みが偶然、開発事業者の目にとまり、商業施設などで人の絵をプロデュースする仕事をするようになったという。当時39歳。「絵は描いても売れなかった。周りに絵をプロデュースする仕事の方が向いていると言われたってことかな」と苦笑い。その後、福岡での実績を買われ、黄金町を再生してほしいと横浜市から声がかかったことが同地区と関わるようになったきっかけだ。
○…「父が小学校で美術の先生をしていて、絵に囲まれて育った」と幼少期の経験がいまに活きる。小学生の頃には地元の絵画展などで数多くの賞に輝いた。「周りからほめられると嬉しいし、手を使って考えることが楽しい」と絵の世界にのめり込んでいった。「人から教わるより、自分で考えることが好き」と小さい頃から変わらぬ性格もいまの仕事につながっている。
○…月2回ほどという休みは、「新しい本との出会いが楽しい」と、古本屋をめぐるのが趣味。月に10冊は本を読む。「好きなことを仕事にできるのが一番いいですよ」と微笑みながら、「まちとアート」をつなぐ仕掛けを考える日々は続く。
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