創業95年、野毛の寝具店「スリープショップ丸共」=中区野毛町2の89=が7月末で閉店する。大正12年から続く老舗だけに、利用者からは閉店を惜しむ声が聞かれる。田中昭彦社長(52)は「先代に感謝したい」と、閉店まで店頭に立ち、来店者の対応にあたる。
スリープショップ丸共は、1923(大正12)年11月1日に「かさぶろう」という商人が野毛で布団店を開いたのが始まり。その後、行商から貸布団や打ち返しの全盛の時代をへて、高級羽毛布団などを扱う寝具専門店として今日に至る。
閉店は、同店が位置する地域の開発計画によるもの。閉店後は、旭区の鶴ヶ峰本店で布団直しなどのアフターフォローを引き継ぐとしている。普段は本店に詰める4代目の田中社長は、4月末からの閉店セールにともない、最終日まで実家でもある野毛店の店頭に立つ。「閉店セールの看板を見て、『なんで』って顔を出してくれる人がたくさんいる」と目を細めて話した。顧客に閉店の知らせを出したところ、地元からはもちろん、横須賀や鎌倉、川崎などからも来客があるという。
父との思い出いっぱい
田中社長の妹でフォトグラファーのしいれいさんは「生まれ育った場所のお店がなくなるのはとてもさみしい」と閉店をしのぶ。田中さんの父親である先代は7年前に他界、その後は母親がスタッフとともに店を切り盛りしてきた。しいれいさんは「生前、父はいつも店のことを考えていました。父との思い出がいっぱいです」と振り返る。
同店は、ネット販売は行わず対面販売にこだわり、最後までその方針を貫く。閉店は7月29日となっている。
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