国連に所属する秋山愛子さんを招き2月16日、「インクルーシブ防災」をテーマとした勉強会が横浜駅近くで開かれた。西区羽沢西部自治会の役員や行政、学生など16人が参加。国連が進める政策と地域実情について意見を交わした。
この勉強会は、地域コミュニティづくりに取り組む野毛坂グローカル(奥井利幸代表)が主催したもの。奥井代表が海外で活動していたときの縁で国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)に所属する秋山愛子さんを招き、実現した。秋山さんは同委員会の社会問題担当官として障害者の権利を守る条約などの草案づくりや、各国の障害者団体の支援などを行っている。
UN ESCAPが進める「インクルーシブ防災」は、すべての人を意識した防災を掲げており、特に移動制限や地域コミュニティへの参加が希薄な障害者を意識しているが、子どもや高齢者、言葉のわかない外国人などすべての人のための防災という意味を持つ。
当日は西区羽沢西部自治会の米岡美智枝会長や西区第4地区で民生委員の小林直人委員長など地域活動を行う人や、障害者の生活支援施設を運営する阿部浩之さんやJICAに勤める三津間ゆかさんなど16人が参加。秋山さんが「インクルーシブ防災」の紹介を行ったあと、参加者と意見を交わした。
防災拠点のハード面課題も
羽沢西部地域は、650世帯ほどが住み、木造住宅密集地となっている。1軒火災が起きると3時間ほどで地域が全焼してしまうと想定されており、防災訓練などは頻繁に行っている。米岡会長は「一本松小学校が地域防災拠点にあるものの、標高が高い場所に存在するため、車いすを抱えて避難することはとても大変」と話し、同学校地域コーディネーターを務める川島しのぶさんは「学校も車いす用のトイレが数多くあるわけではなく、新しい校舎ではないのでバリアフリーが整っているわけではない」とハード面の課題を指摘する。
民生委員の小林さんは「防災会議の場に男性ばかりだと、考え方が男性目線になってしまう」や羽沢西部自治会の川島明弘さんは「言葉が通じない外国の人を避難所に誘導するにはどうコミュニケーションをとるべきか」などソフト面の課題も共有した。
奥井さんは「防災活動一つを取っても、ハード面やソフト面の課題があり地域差が出てくる。障害者団体などあらゆる立場にたった人たちで防災を語る場が必要ではないか」と意見した。秋山さんは「現場の意見を聞けたのは新鮮。勉強させていただきました」と感想を述べた。
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