使い捨てではなく、繰り返し洗って使えるリユース食器。夏祭りなどのイベントで利用が広がっているが、今年3月、(公財)横浜市資源循環公社がリユース食器の貸出事業を終了。補助金の有無も区ごとに異なるなど、今後利用が拡大するか不透明だ。
リユース食器はカップや丼、椀、皿など各種あり、繰り返し使うことで環境負荷を減らすことが目的。貸出事業者をつなぐ団体「リユース食器ネットワーク」によるとリユースカップを2・7回以上使用すると、紙コップ使用時のCO2排出量を下回る結果になるという。
一方、2007年から実施してきたリユース食器の貸出事業を3月に終了した同公社。担当者は他に貸出事業者がいない頃から普及啓発を目的に実施してきた経緯と合わせ、見直しの時期だったと説明。今までリユース食器の保管・洗浄場所だった「みなとみらい21クリーンセンタービル」を確保できなくなったことを契機に、市内で同じ事業を実施しているNPO法人Waveよこはまが受け皿になれると判断し、事業終了を決めたという。
しかし、過去5年間の年間平均貸出件数90件、貸出食器数12万4千個を担っていた同公社が撤退した影響はまだ不明だ。その理由の1つが価格差。同公社とWaveよこはまの貸出料金は食器1個25円で同額だが、同公社は独自に下洗い後の返却を条件に1個10円としていた。採算は取れず、普及啓発を目的とした設定だったが、今後は利用負担の上昇も想定される。
リユース食器普及の最も大きな障壁はコスト。使い捨て容器は1個数円で、1個25円のリユース食器とは隔たりがある。リユース食器は送料もかかるため、使い捨て容器のごみ処分費を考慮に入れてもまだ価格差は大きい。リユース食器ネットワークはこの状況を踏まえ、「行政の補助金は利用の後押しになる」と期待を語るが、本紙調査によると補助金制度があるのは神奈川・栄・都筑・緑区の4区のみだった。
Waveよこはまの金子拓也代表は「リユース食器の普及にはイベント主催者と来場者両方にコストや手間の負担を考えてもらうことが大事。少量からでもイベントに取り入れてもらい、持続可能な社会のために進めていけたら」と話していた。
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