認定NPO法人神奈川県就労支援事業者機構(斎藤文夫会長)=中区元浜町=は11月5日、創立10周年記念式典をロイヤルホールヨコハマで開催した。式典では、今年10月に内閣総理大臣から「安全安心なまちづくり関係功労者表彰」が贈られたことを披露。約200人の関係者が集まり、10周年を祝った。
法務省が2018年12月に作成した「再犯防止推進白書」によると、検挙者全体における再犯者の占める割合は48・7%。また保護観察を終了した時点から職の有無と再犯率の関係をみると、有職者で7・8%に対して無職者は25・2%となっており、同省は、就労の確保は再犯を防止する上で重要な課題としている。
同機構は罪を犯した者(対象者)の雇用拡大を通して再犯防止を図ろうと09年に設立。横浜保護観察所の当時所長だった丸山晴夫氏が、参議院議員の経験を持つ斎藤氏に会長職を依頼。斎藤氏は、更生保護施設「川崎自立会」の理事を務めていることもあり、就労を支援する大切さに理解があったことから、会長職を引き受けた。また、副会長に横浜港運協会会長の藤木幸夫氏、常務理事には、30年近い保護司の経験を持つ関根政幸氏が務めるなど、県内の政財界への広い人脈や更生支援に理解ある人が名を連ねた。
設立当時、対象者などを雇用または雇用しようとすることで社会復帰に協力する協力雇用主が、神奈川県内を管轄する横浜観察所管内で170社。そのうち実際に雇用した事業所は、わずか9社の状況だった。
約5倍の雇用実績
県内の事業所に協力雇用主の登録や対象者の実際の雇用を呼びかけていくなかで同機構は、17年に認定NPO法人の認可を受け、18年には無料職業事業の許可を厚生労働大臣から受けるなど、先進的な取り組みを展開した。協力雇用主の数は10年で3倍以上の561社、さらに実際に雇用に結びついた事例が43社と10年前と比べると約5倍に増えた。そうした取り組みが評価され、今年10月に「安全安心なまちづくり関係功労者表彰」が安倍晋三内閣総理大臣から贈られた。
式典は、更生保護を考える議員の会会長を務める田中和徳復興大臣や黒岩祐治県知事など関係者約200人が出席。斎藤会長は「就労斡旋のため職員が全力を挙げて取り組んできたことや県下企業や団体の皆様のご協力があり10周年を迎えることができました。今後も安全安心な日本を作る決意で活動していく所存です」とあいさつした。
法整備に一役
式典では、就労支援への貢献が顕著な企業や団体を表彰する場も設けられ、中区本牧町に在住する同機構の関根常務理事が「全国就労支援事業者機構会長表彰」に輝いた。関根常務理事は、同機構の取り組みを第一線で推進。14年には、国会に招かれ協力雇用主を担った経験を国会議員に説明し16年に策定された再犯防止推進法など全国的な再犯防止の施策推進の後押しとなった。
式典後は、東京理科大学の藤嶋昭栄誉教授が記念講演を行ったほか、祝賀会も催された。関根常務理事は「再犯防止こそが治安の原点があり、斎藤会長をはじめ多くの方のご尽力があり、今日に至りました。今後も機構の更なる発展に邁進して参ります」と述べた。
![]() 表彰を受ける関根常務理事
|
中区・西区・南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>