障害などのある社会的マイノリティーの人を「本」に見立て、読み手との対話から相互理解を深めるイベント「ヒューマンライブラリー」(HL)が2月6日、山手オープンタウン(楠孝司代表)の主催で開催された。新型コロナ感染拡大防止のため、オンラインで実施。本役は片腕の手品師・シリュウさんが務め、手品や自身のストーリーを語った。
同イベントは、障害のある人とない人とが交流し、より生活しやすいまちを目指す任意団体「山手オープンタウン」が主催し、麦田地域ケアプラザの共催で実施。昨年2月末に同様のイベントを中区大和町で企画していたが、新型コロナ感染拡大防止のため、延期となっていた。
54人が参加
コロナが収束しないなか、ウェブ会議ツールZoomを使用することで1年越しの開催にこぎつけた。参加者は、中区内の自治会町内会の役員をはじめ地域住民や介護事業者、行政関係者など総勢54人。一般的にHLは、司書役と本役(語り手)、読者に分かれ4人程度の少人数で行われるが、今回は最初に本役1人の発表を参加者が全員で聞く形式。終了後に質問時間を設けたほか、5人ごとの小グループに分かれ、15分間意見交換も行った。
当日は、難病を患うアッピーと母親が司会を務めた。本役は、小学1年生の時に交通事故に遭い、左半身が不自由となり現在は、プロの手品師として活動する片腕の手品師・シリュウさんが担当した。
『弱みは強みだ』
「片手で手品をするのは困難だと思われるが、片手でできる手品を開発し日本では、2人しかいないプロ手品師になれた」とシリュウさん。HLでは、本のタイトルを『弱みは強みだ』と付け発表した。冒頭はトランプを使ったマジックを披露。オンラインでも、参加者を巻き込みながら手品を成功させ、場を盛り上げた。また交通事故により左半身が不自由になり、片腕で生活するなかで感じた思いや、21歳のときに、おもちゃ屋さんのイベントで出会った師匠がきっかけで手品師になった経緯などを語った。
質問タイムでは、事故後の学校での生活や日常生活などについても触れ、シリュウさんだけでなく、障害がある参加者の経験談も共有。HLに臨んだシリュウさんは「初めてのオンラインで慣れないこともあったが、このような活動で障がい者への理解が深まれば嬉しい」と感想を話した。また、退職後、地域活動に注力する主催団体の楠代表は「地域に住む人々が障がい者の声を生で聞く機会は障がい者に対する偏見を減らし、どんな人にも開かれた街づくりへと繋がるのでは」と期待を述べた。
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