横浜市長選挙の告示まで約1カ月。6月28日時点で現職の林文子市長は態度を明確にしていないが、選挙戦では3期12年の林市政の評価が争点の一つになる。この12年を振り返り、市政の課題を3回にわたって探る。
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市の現在の人口は約377万人。市の推計では2065年に2割減の約302万人と予測され、人口減少による税収減少から、今後はより厳しい財政状況が見込まれる。
ダイエーの会長などを務めた林氏は、09年8月の市長選で初当選。経営者の経験を生かし、税収減少を補うための市政運営を進めてきた。
その一つが企業誘致。市は04年に企業の市内進出を目的に「企業立地促進条例」を制定したが、社会や企業を取り巻く環境の変化に応じて改正を重ね、助成金や税軽減を行って企業誘致を推進。林氏も東京をはじめ国内の主要都市へのアクセスの良さや、オフィス賃料が東京より安い点などを掲げ、15年には助成額を最大20億円から50億円に引き上げるなど、この方針を進めてきた。
大企業の本社 MMに
その結果、京浜急行電鉄を含む京急グループや日本KFCホールディングスの本社、資生堂の研究所などがみなとみらい21地区へ進出。09年9月から21年4月までに同条例に基づき104件の事業が認定され、市によると19年度までの累計で支援額約382億円に対し、税収額約567億円と税収が約185億円上回った。ただ、減税措置などが大企業を優遇し、中小企業や地域の商店に支援の目が向いていないという声も根強くある。
経済効果を期待
もう一つ、林氏が掲げたのがカジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致だ。17年の市長選では「白紙」としたが、19年8月に誘致を表明。大きな経済効果を期待し、山下ふ頭=中区=を候補地に準備を進める。これに横浜商工会議所は賛成し、協力姿勢を示す。
一方、山下ふ頭に拠点を置く港湾事業者らの団体は強く反対する。さらに誘致反対の市民団体が中心となり、20年に誘致の是非を問う住民投票を求めて条例提案に必要な法定数の3倍以上となる19万筆超の署名を集めたが、住民投票実施のための条例案は今年1月、自民党や公明党の反対によって否決。20年10月から12月には林氏のリコール(解職請求)を求める市民団体が署名活動を行うも、約9万筆で法定数の2割に満たなかった。
市は今年5月までにIR運営事業者を募り、審査を通過した2者から提案を受理。夏ごろに事業者を決め、来年4月までに誘致を国に申請する。
ほかにも、林氏はバレエなどの本格的な舞台芸術を上演できる劇場整備も検討。コロナ禍でのこれらの事業推進に、住民投票を求めた市民からは「進めるべきではない」との声が出ている。
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