本紙は衆院2区(西、南、港南区)選出の菅義偉前首相(73)に単独インタビューを行った。その中で菅氏は昨年9月から約1年間の首相在任時を「ワクチン接種を進めるなど、多くの仕事ができた」と振り返った。今後は自身が道筋を付けた不妊治療への保険適用など、これまで縦割り行政で進められなかった政策を進めるとした。(聞き手/本紙・門馬康二)
--自身の衆院選の結果をどう評価するか。
「得票率が6割を超え、本当にありがたく、力強いものだった。首相を辞めた後の選挙であり、(有権者の私への)期待感がなくなることを一番心配していた。しかし、ワクチンの効果が出始めてきたこともあり、全国どこを回っても『ワクチンありがとう』という声が聞かれた。これは政治家冥利に尽きる。
--ワクチン接種にこだわりを持って進めた。
「海外の様子などを情報収集し、コロナ収束にはワクチン接種しかないと思い、全力投球をした。『接種1日100万回』は高い目標だったが、行政の縦割りを排除し、規制緩和をして実現できて本当に良かった」
--そのほかの成果はどうか。
「約1年間でも多くの仕事ができた。2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする『カーボンニュートラル』やデジタル庁創設、不妊治療への保険適用、携帯電話料金値下げなど、一挙に推進できたと思っている」
縦割り浮き彫りに
--首相の経験をどのように活かせるか。
「あらゆることを大所高所から見渡せるようになった。不妊治療の保険適用など、自分が道筋を付けたものを前に進めるのが役割。縦割りや規制によって縛られているものを浮き彫りにしたい」
--市長選で当選した山中竹春市長の評価は。
「当選して間もないので、すぐに何かはできないと思う。市民の審判を受けたので、市民にとって大事な必要なことであれば、私たちも協力するのは当然のことだ」
--市長はIR誘致撤回を決めた。今後、横浜の発展に必要なことは。
「IRに代わるまちづくりとして、花博(国際園芸博覧会)を行う旧上瀬谷通信施設とみなとみらいなどの中心部が連携していくまちづくりを検討する必要がある」
--花博は一部に開催を疑問視する声もある。
「世界から数千万人が来ると思う。将来へ向け、地球環境などを考える中で大きな役割を果たせる。積極的に招致してきたので成功させたい」
--有権者へのメッセージを。
「皆さんのおかげで横浜市会から国会に出させていただき、首相を務めることまでできた。コロナを一日も早く収束させ、日本ににぎわいと活力を取り戻したい。笑顔のある日常を取り戻し、その笑顔が続く社会を作っていくことが大事。横浜は全国的にも『住みたい街』と見られている。港を中心に発展してきた独自性を生かしながら、世界に向けて先駆的なことを発信できる街でありたい」
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