横浜市が市内の中小企業を対象に行った脱炭素化に関する意識調査で「必要性を感じているが未着手」と回答した事業者が6割に上ったことが明らかになった。これを受け、市は脱炭素ガイドラインを作成し、市内企業の脱炭素経営を後押ししていきたい考えだ。
横浜市では、企業の経営や事業活動に脱炭素化を取り入れる後押しをするため、昨年度に市内中小事業者1万者を対象として「脱炭素化・SDGsに関する意識調査」を実施(回答率22%)。その結果、脱炭素化の必要性を感じている企業が約8割に上るものの、実行面では「まだ取り組んでいない」と回答した事業者が全体の約6割だった=図。脱炭素化への課題に「知識やノウハウが不足している」とする回答が47%で最も多く、次いで「コスト増のための資金の捻出が難しい」が46%だった。
啓発促進の一助に
これから脱炭素に取り組もうとする企業の入門書として、横浜市は市内中小企業向けの脱炭素ガイドラインを作成し、4月28日に市のホームページ上で公開した。
ガイドラインでは、領収書や検針票で自社のエネルギー使用量を把握する解説から始まり、省エネ対策や再生可能エネルギーへの切り替えなど業種共通でできる取組のほか、製造業や宿泊・飲食など6つの業種別に行うべき取組を、表やイラストを用いながら分かりやすく解説。企業の具体的な取組事例も紹介しており、脱炭素化の指針となる内容となっている。
2009年から工場内のCO2排出量削減などに取り組んでいる太陽油脂(株)=神奈川区=の担当者は、脱炭素化を社内で進めるにあたり「省エネなどの取組はもちろん従業員への環境意識の啓発が大切」と説明。市の温暖化対策統括本部の担当者は「市内企業の99%を占める中小企業が取り組むことで、横浜の脱炭素化を促進できる。このガイドラインが一歩を踏み出すきっかけになれば」と話し、今後は冊子版ガイドラインも活用しながら、横浜企業経営支援財団やヨコハマSDGsデザインセンター、地域の金融機関などと連携し、中小企業の脱炭素化の支援を図るとしている。
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