南区の井土ケ谷小学校がこのたび、学校給食優良学校として文部科学大臣表彰を受けた。この賞は学校給食の普及と充実を図るため毎年、優秀な成果をあげた学校や共同調理場に贈られている。今年度は同小を含め、全国で9校が選ばれた。
給食や食育へ取り組みを進める中心的な存在は鈴木正憲校長と長瀬優子栄養教諭。赴任した4年前に2人がまず始めたのは、給食の残食率の改善だった。「みんな大好きだと思っていたカレーでさえ残食が多かった」と話す。毎日の検食の時に改善点を2人で話し合い、材料の見直しや具材の切り方、入れるタイミングなどを改善した。「今の子は舌が肥えていて美味しくなければ食べないが、美味しければちゃんと食べる。改善すれば目に見えて残食が減るのが面白い」と鈴木校長は話す。
さらに給食を生きた教材ととらえ、独自の献立作成や食にまつわる体験活動を実施。理科の実験などにも関連付け、学びを積み重ねる独自の取組みも進める。
調理法を動画配信
昨年度からは、調理の様子などを動画で撮影し、児童のタブレットに配信する。きっかけは見本の配膳を、教諭が撮影し児童と共有しているのを見たこと。長瀬教諭は「ネットワークを使えば、調理動画も共有できると思った」と話す。
現在は調理法や味付け、食材の説明のほか、調理員や食材の納品業者のインタビュー、柑橘類のむき方の説明などを配信することも。5分程度に編集し、テロップなどで分かりやすくする工夫も欠かさない。「マンネリ化しないように心がけています。児童が給食の感想を満面の笑みで話してくれるので、やりがいがある」と話す。
動画をきっかけに教室で各教諭がさらに内容を深めて話すことで、残食率の改善にもつながったという。鈴木校長は「何より、教室を巡ると、子どもたちの笑顔が素晴らしいんです」と話す。
そんな同校では、給食委員が人気の委員会だという。現在は、90周年の独自の献立を考えている。長瀬教諭は「栄養素や地産地消の観点も取り入れ、考えてくれています。子どもたちの熱量で、こちらも力が入ります」と話した。
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