使用済みの食用油を回収し、航空燃料として再資源化する取組が市内で広まっている。中区内では10月5日から「食品館あおば本牧店」に回収ボックスが設置されたほか、中区役所のイベント会場でも回収が行われる。
航空燃料の原料として再資源化する「Fry to Fly Project」の連携企画として、中区役所では11月13日(水)のSDGsマルシェの会場(区役所別館駐車場横)で、不要な食用油の引き取りを初めて行う。午前11時から午後3時までの間に、使用済みの食用油をペットボトルなどのふた付き容器に入れて持参する。
このプロジェクトは、国内資源循環による脱炭素社会の実現に向けて、家庭や飲食店などで使用された食用油(廃食用油)で作られる持続可能な航空燃料「SAF(サフ)」で航空機が飛ぶ世界を実現しようとするもの。このSAF製造事業に取り組む日揮ホールディングス=西区=が提唱し、昨年4月から開始した。
従来の航空燃料と比べてCO2排出量が約80%削減できるため、横浜市をはじめ160を超える企業や自治体などがプロジェクトに参加。みなとみらいの商業施設やホテルなどで事業系の廃食油の回収が進んでいるという。同社では、横浜銀行や横浜市などと連携した小学校での出前授業にも取り組み、家庭からの廃食用油回収に向けた周知を強化。一般市民の環境への行動変容に期待し「市内の企業にも協力を促しながら地域と共に進めていけたら」と話す。
家庭に回収呼びかけ
SAF製造プロジェクトは欧州や米国企業が先行している状況で、来年からEUでは供給義務化がスタート。日本でも2025年の大阪・関西万博開催年にあわせて供給開始が予定されている。
また、国が30年までに航空燃料の10%をSAFにする目標を掲げる中で、国内で年間約10万トンも発生している家庭の廃食油に注目が集まるが、そのほとんどが廃棄されているのが現状だ。
今年1月から同プロジェクトに参加する商業施設「MARINE&WALK YOKOHAMA」では飲食店から出た廃食用油のほか、定期的にイベント内のブースで家庭の廃食用油を回収している。「SDGsの取組の一環。告知を強化して回収量を増やしていけたら」と同施設は話す。
10月5日からSAF用廃食油の回収ボックスの設置を始めた食品館あおば本牧店では、開始約4週間で28リットルを回収。「油の処理に困っていたから助かる」「他の店舗でも回収してほしい」などの声が届いているという。同店では「思った以上の反響。周辺地域の環境に対する意識の高さも感じた」と話し、今後順次回収店舗を増やしていく予定。
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