横浜「注目の人」インタビュー 日本ナポリタン学会会長・田中健介さん「横浜からナポリタンを通して洋食文化が広がった」
横浜が発祥の地と言われる「ナポリタン」。横浜のソウルフードを愛する市民団体「日本ナポリタン学会」の会長を務める田中健介さんが2024年7月、ナポリタンの歴史や地域的な広がり方などをまとめた著書「ナポリタンの不思議」(マイナビ新書)を発行した。会の活動やナポリタンと横浜の関係などについて話を聞いた。
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――まず日本ナポリタン学会の活動について教えてください。
「横浜発祥のナポリタンを食文化として再認識し、横浜から元気な日本をつくっていくことを目指して2009年に設立したものです。現在の会員は約40人で、ナポリタンが好きなことはもちろん、横浜が好きという人が多いです。愛着を持ってナポリタンを提供している洋食店や喫茶店などを認定する取り組みも行っています」
――今回、ナポリタンに関する本を書こうと思ったきっかけは。
「2023年11月に出版社の方から学術的なものを書かないかと話がありました。それを受けて、ナポリタンにまつわる自分の見解を示せればと思い、取材を始めました」
――ホテルや洋食店、喫茶店などを取材し、どんなことが分かりましたか。
「ナポリタンはホテルニューグランドで誕生しましたが、そこで修業を積んだ人が独立して店を開き、ナポリタンがアレンジされていることが分かりました。ナポリタンの広がりは洋食文化の広がりとも重なります」
――ナポリタンを取り巻く今の状況をどう見ていますか。
「バブル期のグルメブームで本格的なイタリア料理を求める流れがあり、日本式のスパゲティ料理が影を潜めました。その中で2013年にカゴメが『日本一のナポリタン決定戦』として『ナポリタンスタジアム』というイベントを始めました。それ以降、ナポリタンをメインにして勝負する飲食店が増え、ナポリタン専門のチェーン店『パンチョ』(スパゲッティーのパンチョ)が全国的な存在になりました。一方、いわゆる『街の喫茶店』が大きく減り、いいナポリタンを出す店が少なくなったとも感じています。古くからあるナポリタンが消えつつある状況は寂しいです」
――飲食店が後継者不足で閉店する話をよく聞きます。
「後継者不足は深刻です。それでも『地元に愛された喫茶店を残したい』と20代の方が立ち上がって受け継いだ京急鶴見駅そばの『山百合』のような例もあり、いろいろな形で店が残り続けています」
――田中さんが好きなナポリタンはどのようなものですか。
「やはり、よく炒めたものですね。少し焦げ付いた感じでケチャップの旨味が出た感じが良いです」
――横浜全体に対して、どのような印象を持っていますか。
「以前は『ランドマークが見えないと、横浜じゃない』と思っていましたが、今では横浜全体が好きです。南区の中村橋から磯子区の八幡橋あたりの風景は何とも言えない魅力があります」
――今後の目標を教えてください。
「横浜の全区から認定店を出せるようにしたいです。また、全国各地にナポリタンがあり、その一部しか探っていませんが、その土地の魅力をナポリタンを通じて知る面白さを含めて提案していきたいです」
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12月18日~12月18日