15歳未満の病死原因で最も多いという「小児がん」について、横浜市では、患者の支援を目的にITを駆使した取組を推進している。昨年から「メタバース」を利用した患者同士の交流機会の創出のほか、今年からは初の啓発動画の配信も開始。市は、患者や家族の現状への理解促進を図りたいとしている。
小児がんとは15歳未満がかかる様々ながんの総称で、主に白血病や脳腫瘍などがある。子どもの病死原因第1位だが、近年は医療の進歩により、り患しても7〜8割は治癒が望めるという。
横浜市がん・疾病対策課によると、全国で新たに小児がんと診断された人は最新の統計の2020年で2080人。市内は49人で、「希少がん」とも呼ばれている。
り患数の少なさから「成人のがんと比べて社会の理解が不足している」と同課。そこで市は近年、理解促進に向けITを活用した取組を進めている。昨年8月、治療の副作用による外見の変化などを気にせずに患者同士が交流できる場を創出しようと、市はインターネット上の仮想空間「メタバース」の活用を試行。開催した交流イベントでは、患者や家族らが自身の分身である「アバター」を利用して会話を楽しみ、交流を深めた。市は「来年度も実施できれば」としている。
また市は、横浜F・マリノスで活躍した中澤佑二さんの協力で、啓発動画を初めて作成。小児がんの治療を受けた市内の子どもが「闘病中に辛かったこと」などを語る動画で1月、市公式YouTubeチャンネルで配信を開始した(30年1月まで配信予定)。同課は「患者やご家族の現状を知り、自分に何ができるのかを考えることにつながれば」としている。
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