NHK大河ドラマ「平清盛」の題字揮毫などで知られるダウン症の書家、金澤翔子さん。その母で書家の泰子さんによる講演が1月23日、中区内で行われた。中区PTA事業研修会に講師として招かれたもので、区内小中学校の保護者ら約200人が参加した。
泰子さんは、今年で30歳になる翔子さんとの生活について「とても幸せです」と語った上で、ダウン症の子どもを育てた経験から自身の教育観を話した。
障害があることは「可哀そうでも何でもない」と話す。障害をマイナスに捉える根本には、世間体や親の思う通りに子どもがならないという考えがあると指摘した。「翔子には複雑な社会の構造は分からない。だから出世欲や金銭欲などの欲望がない。ただただ人を喜ばせることに幸せを感じているのです」と話し、翔子さんと向き合って生きる日々が、いかに満たされたものかを説明した。泰子さんは、子育て中の保護者を前に「生きていれば絶望はない。この言葉を贈りたい」と締めくくった。
個展が転機に
泰子さんは、翔子さんを42歳で出産。当時は「ダウン症と分かり、とてもつらかった」と振り返る。死を考えたこともあったという。
翔子さんが10歳のころに、般若心経の写経に挑戦させた。涙を流しながらも筆を手にすることで書の基礎を身に付けていった。翔子さんが14歳の時に突然他界した父親の遺志を引き継ぎ、2005年には、1回限りとして銀座で個展を開催。それがメディアに取り上げられ、翔子さんの存在が知られるようになった。
翔子さんは3月20日、ダウン症の日記念会議の日本代表として国連本部でスピーチを行う。
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