6月3日からKAAT神奈川芸術劇場で舞台『アドルフに告ぐ』に出演する 鶴見 辰吾さん 市内在住 50歳
「心」込め役づくりに全力
○…手塚治虫の問題作『アドルフに告ぐ』が舞台化。その出演依頼に「ぜひやりたい」と応じた。ヒットラーの出生に関する秘密文書を巡り、ドイツと日本を舞台に男女の運命が翻弄されていく物語。「読み応えがあったのを覚えています」と若いころに原作を手にしている。「演劇は同じメンバーで何回も公演します。だから持続できる魅力的な作品であることが重要です」と今作品に入れ込む。
〇…大作なだけに、どう凝縮するのか楽しみだったという。実際に台本を手にし「見事に戯曲化しています」と目じりを下げた。舞台では、物語を進行する重要な役回りの「峠草平」(ジャーナリスト)を演じる。「戦前の人らしく骨のある人物。頼りがいがあって、飾らない人柄にあこがれます」。俳優は役に入り込んで情緒的になりやすいものと指摘、「ジャーナリストとして客観的な視点を持つ峠の役に、そのバランス感覚が問われますね」と役づくりの妙味を語った。
〇…東京都出身、中学生のころに叔母がオーディションに応募したことをきっかけに俳優の道へ。昔から好きだったという横浜には18年前に越してきた。今公演の会場が横浜市内であり「近くていいですね。とても素晴らしい劇場です」とにっこり。また市内在住ということもあって出走した3月の横浜マラソンでは、初の42Kmながら、4時間を切り話題になった。11年前から乗っている自転車、またジョギングに加え最近は、散歩も趣味に。「東横線の反町から横浜までの旧路線は好きですね。妻とたまに歩きますよ」
〇…俳優として大切にしていることは「心です」ときっぱり。「人前で演じて何かを伝える仕事。技術的なことよりも、心が伴わないと意味をなさない」と言葉に力がこもる。戦前戦後を舞台に、フィクションながら現実の問題を取り上げた今作品について「戦後70年、平和を考えるきっかけになれば」と期待する。
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