横浜能楽堂=西区紅葉ヶ丘=は、開館20周年の企画公演で人間国宝の野村四郎さんが使用する能面を、9月2日から9日まで公募する。今回のような公募は13年ぶりで、能楽堂では「新しい面を育てていくという意味でも大切にしたい」と話している。
募集する能面は、開館20周年企画公演『横浜の能』(11月26日)の演目の1つ、金沢区の称名寺を舞台とした「六浦」で使用されるシテ(主役)の女面。舞台には「前シテ」と「後シテ」があり、女面2点が対象となる。応募作品の中から演者である観世流の重鎮、野村四郎さん(人間国宝)自ら選定し、使用する。
「使ってこそ」
能面の公募は、「能面の里」で知られる福井県池田町の能面美術館や、石川県金沢市の能楽美術館の取り組みが知られる程度で、全国的に珍しいという。さらに、横浜能楽堂のように公募した面を実際の舞台で使用するのは数少ない取組みだ。「使ってこその能面です」と能楽堂では話す。
面公募は3回目。開館5周年と新作能を披露した2003年に実施しており、今回13年ぶりとなる。使用演目を決めずに広く募集した1回目は約330点が集まった。一方、今回は伝統的な演目で、登場する女の像も知られていることから能楽堂では応募数が絞られると予想している。
公募の方針は、昨年の春に決定。11月公演とともに企画された『伝説の能面・狂言面』(全4公演)で一級品の能面・狂言面を使用することから、面を共通項として、『横浜の能』では面の公募に踏み切った。
能楽堂の大瀧誠之さんは「趣味で面を打つ(制作)方の目標にしていただきたい。応募が実際に舞台をみるきっかけになれば」と期待する。また「面を打つ文化の発展にも寄与していきたい」と話していた。
応募作品の中から、大賞2点(使用される面)と優秀賞2点、佳作最大50点程が選定。11月の公演終了後に表彰式。入選作品は来年1月9日まで能楽堂2階に展示される。面応募は【電話】045・263・3055。
中区・西区・南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|