改正個人情報保護法が5月30日に施行され、市内約123万世帯が加入する自治会町内会もその対象になった。今後、大半の自治会町内会で、個人情報の取扱ルール作成や名簿の安全管理などが求められることになる。
個人情報保護法は、個人の権利利益の保護と個人情報活用の有用性とのバランスをとるため2005年4月に施行。その後、15年9月の改正で5千件以下の個人情報を取扱う事業者も対象となり、名簿を持つすべての自治会町内会が同法の適用を受けることになった。
5千人以下の企業やNPOなどは、以前から取扱ルールを設けているところも多いが、市内に2867ある自治会町内会の場合、対応は千差万別だ。そのため市は、必要となる「個人情報取扱ルール」や名簿の「安全管理」などを示した手引きを作成し、全18区で説明会を開催するなど適正な運用を働きかけている。
横浜市の同会加入率は約75%で、100万人以上の政令市では仙台市に次ぎ2番目に高い。また同会が地域の防犯や防災などに主体的に取り組んできた経緯もあり、他都市と比較しても活動が活発とされている。
適正管理で活用促進
市によると、取得済みの個人情報は、以前の名簿作成の際に利用目的を伝え、配布の同意が得られていると見なし、改めて同意を得る必要はないと説明する。一方、新たな加入者には、利用目的の明示と名簿配布の同意を得る必要がある。
市は「この機会に個人情報取扱いのルールを明確にして、会の活性化につなげてほしい」と話している。
50万円以下の罰金も
改正により情報漏えいには50万円以下の罰金などの罰則が設けられた。役員や班長(組長)も該当するとされており、中区で町内会会長を務める男性(77)は「万が一の場合、誰が責任を取るのか。名簿作成に慎重になってしまう」と漏らす。また、障害や病歴などの配慮すべき情報の取扱いはより厳格化。要援護者の情報はその対象になる可能性が高い。「要援護者を含む防災連絡網はどうするのか。役所から作成をすすめられている」(中区町内会会長・75歳男性)と、負担増を懸念する声もあった。
「説明要求に備えを」
神奈川県弁護士会・情報問題対策委員会メンバーの中野智昭弁護士は、同法への対応について「必要以上にあわてないこと」としつつも、「個人情報の取扱いについて会員から説明等を求められたときに対応できるよう、備えておくことが必要です」と指摘している。
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