横浜市営バスは11月10日で開業90周年を迎える。今でこそ823両134路線、1日約33万人の乗客を乗せて市内を走る市営バスだが、開業時の路線は7つ。唯一の拠点として使われていたのが、当時市電の車庫でもあった浅間町営業所=西区=だった。
市交通局が60周年時に発行した記念誌『のりあい自動車』には、1928(昭和3)年の開業当時の様子が事細かに記載されている。それによると、バスの車庫は市電の車庫を転用したもの。「地面には電車のレールが残っていたし、電車にはポールがあったため、天井は高かった。いかにも”借り物”といった感じだった」と記されている。開業時の路線は神奈川―三ツ沢、神奈川―井土ヶ谷、桜木町駅―小港、桜木町駅―滝の上、弘明寺―日野、磯子―間門、桜木町駅―保土ケ谷。現在のバスの座席数は約30だが、「A型フォード」と呼ばれる当時の車両は14人乗り。区間制で、1区間の料金は7銭だった。
関東大震災からの復興が進み、保土ケ谷、鶴見など隣接町村と合併し区制が敷かれたのが開業前年。郊外に人口が広がる中、市中心部を走る市電を補完する意味合いで路線を増やしていった。
戦禍や市電廃止、地下鉄開業を経て、横浜の発展と共に歩んできた市営バス。今年4月から浅間町営業所の所長を務める米山岳夫さんは「地域を回る中で改めて、バスが横浜の街の発展の中でコミュニティを繋げてきたと強く感じる。これからも地域の方々と向き合いながら、安全運行に努めたい」と話した。
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