かつてこんなにも埼玉県がフィーチャーされたことがあっただろうか―。強烈な“埼玉ディス”で話題になった漫画『翔んで埼玉』が二階堂ふみ・GACKT主演で映画化され、2月22日に公開。連日[埼玉]の文字がメディアを賑わせている。「…サイタマ?」。横浜市民には一切関係ないかと思いきや、原作者の魔夜峰央(まやみねお)さん(65)は、実は横浜市中区在住。そして物語の鍵を握るハマっこにおなじみのあのキャラクター…。魔夜さんに横浜的視点から話を聞いた(2月19日、中区某所)。
「埼玉県民が東京に行くには通行手形がいる!」「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」等々、数々の名言?を生んだすさまじい“埼玉ディス”が満載の『翔んで埼玉』。30年も前に発表したこの漫画がテレビ番組で話題になり、2015年12月に宝島社から復刊。埼玉県民からも支持され、累計発行部数69万部の大ヒット作に。この「埼玉県民が東京都民に虐げられる物語」に、映画では埼玉と千葉のどちらが東京への通行手形の撤廃を実現できるのかというオリジナルの要素が加わっている。
監督は『テルマエ・ロマエ』などを手がけた武内英樹氏。「映画は原作の何倍にもグレードアップしている」と魔夜さんも太鼓判を押す。特にお気に入りは、埼玉県と千葉県の合戦のシーン。「自分が映画を作っても同じ演出にしたと思う。監督とは感性が似ているんでしょうね」。また配役もイメージにぴったりだったといい「魔夜先生の大ファン」と話す主役のGACKTさんについては「この作品自体が大きな嘘。その主役をはるのは、CGみたいな存在のGACKTじゃないとだめだった」と絶賛する。
地元ゆかりの演出も
冒頭のシーンで、魔夜さんが本人役として登場するのも見どころの一つ。「俺ってこんないい声だったかな、と思って監督に聞いたら『ナレーションは別人(吹替え)です』って」と苦笑い。その周りをプロバレエダンサーの息子・眞央さん、バレエ教室の講師を務める妻と娘が華麗に舞う演出も。「息子は『埼玉狩り』される埼玉県民役としても出ています。家族とはいまだに撮影の話で盛り上がっていますね」と頬を緩める。
今回地元・神奈川は、埼玉VS千葉の戦いを高みの見物する位置づけ。出演者と本人の出身地が一部リンクしており、神奈川県知事役は横浜市金沢区出身の竹中直人さん。横浜開港のペリー提督をイメージした衣装で、東京都知事の大好物である崎陽軒のシウマイを毎回お土産に持参。都知事が「ひょうちゃん」をコレクションしているという設定だ。実際、都知事役の中尾彬さんがひょうちゃんコレクターとの噂も。
笑っているのは埼玉ではなく今の時代
魔夜さんは、執筆当時は全く反響がなかった本作のブームについて「ものが言えない時代になっているから、逆に(強烈なディスりが)目立っているんだと思う。映画では埼玉ではなく、“言いたいことも言えない今の時代”を笑っている」と分析。公開前に中国・上海で行った試写会も「バカウケ」だったそうで、「埼玉を知らなくても、世界中に千葉と埼玉のような地域格差ネタがあるんだと思う。日本各地でどのくらいウケるのか楽しみ」と笑顔をみせた魔夜さん。「横浜市民はぜひ上から目線で楽しんで下さい」
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