〈連載【9】〉米国・設計者が横浜を語る 「カジノなしでも人は来る」 IRと横浜
横浜へのカジノを含むIR(統合型リゾート)誘致に反対する市民団体「カジノを考える市民フォーラム」が昨年12月、米国でカジノルームの設計や内装などを手掛ける建築デザイナーの村尾武洋さん(52)を招き、講演会を開いた。この中で村尾さんは「カジノがなくても横浜に人は来る」と語った。
村尾さんはニューヨーク在住。米国で2004年から約25カ所のカジノルームの内装などを手掛けてきた。横浜市のIR誘致方針が明らかになった昨年夏、横浜港運協会の藤木幸夫会長が誘致反対の意思を明確に表明した会見をYouTubeで目にした。「藤木会長に一言伝えたかった」と手紙を書き、それがきっかけで今回の講演会につながった。
村尾さんは
「最初の仕事で4億円の内装を依頼され、1年かけて作ったが、『6週間で元が取れた』と依頼主から言われた」という。「すぐ元が取れるのは、負ける人が多くいるということ」と述べた。
「金を落とす」仕掛け
カジノルームのデザインは「時間が分かると賭ける熱が冷めてしまうので、時計は置かず、窓も作らない。照明は夕方5時から7時くらいの明るさにする」と明かした。さらに、賭けに集中してもらえるように、休憩用の椅子は置かず、出口を見えづらくするなどの設計方針があるという。
米国のIRはカジノのそばを通って劇場やホテルに行く動線にしており、「(カジノに入れない)21歳未満の人にも目に触れさせるようにし、カジノに行く次の世代を育成している」という。加えて、カジノとホテルがセットになっていることが、売買春の温床になっているとも語った。
米国ではカジノ産業が衰退傾向で、事業者が新たなマーケットとして日本に目を向け始めているという。「街や道がきれいな横浜にはカジノがなくても人は来る」とした上で「本来、カジノを入れないとIRが成り立たないというのはおかしい」と横浜市の姿勢に疑問を投げ掛けた。最後は「カジノがなければそれに越したことはなく、日本には必要ないものだ」とまとめた。
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地元奉仕団体 新会長の横顔 Vol.710月17日 |