横浜文化賞を受賞した鎌倉彫師範の 蒲田(かつきた) 敏子さん 中区在住 101歳
彫刻刀を手に創作続く
○…カツラの木に装飾的なデザインを彫り、漆を塗って仕上げる鎌倉彫。師範として教室や個展を手掛けるなど、これまで精力的に活動してきた。1980年には米国大使公邸で作品デモンストレーションも。横浜市の最高顕彰受賞の一報に「夢のよう。喜んで受けさせていただいた」と笑顔で話した。
○…鎌倉彫との出会いは約80年前。義母から勧められ彫刻刀を譲り受けた。もともと手仕事が好きだったこともあり、すんなりと刀を手にすることができた。本格的に始めたのは終戦から10年ほどたち、社会が落ち着いてきたころ。夫は転勤族で名古屋・大阪・四国の新居浜など16年にわたり関東を離れたが、月に1回は電車で鎌倉まで通ったという。「いい先生にめぐりあえた。自分の図柄で自由に彫らせてもらえた」とデザインの構想でいつも頭がいっぱいだった。そして75年に師範免許を受けた。
○…弘明寺出身。横浜第一高等女学校(現・横浜平沼高校)、神奈川県女子師範(現・横浜国立大学教育学部)を出て、磯子の小学校で2年ほど教壇に立った。「90歳の教え子とは今でも付き合いがあります」とほほ笑んだ。また、人生100年、病気知らず、医者知らず。3歳で被災した関東大震災では眉間に大けがを負ったというが、それ以後は健康そのもの。その秘訣は「自分流の体操」ときっぱり。「朝昼晩、必ずやります。自分で決めたことだから」
○…生まれ育った大好きな横浜。海が見える自宅を工房に、いまも創作活動は続く。年末には所持する彫刻刀約180本を「お礼研ぎ」。「一年間楽しませてくれてありがとうってね」。101歳を迎え「周りの人の助けがあってこそ。いただいた寿命が続く限り健康でいたい」と話した。
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