新郎新婦が手に持つのは結婚証明書…ではなく、カーボンオフセットの証明書-。2030年までの脱炭素化をめざすみなとみらい21地区でこのほど、式に関わる二酸化炭素の排出を実質ゼロとする「脱炭素披露宴」が催された。
式を挙げたのは村尾雄太さん・石原茉紀さん夫妻。横浜市役所の脱炭素事業を所管する部署で働く新郎の希望で行うことになった。
披露宴会場では照明や空調、料理の提供など、様々な形で電気や熱が使われる。通常、電気や熱エネルギーを作り出す際には温室効果のある二酸化炭素(CO2)が発生するが、再生可能エネルギーを使った発電・発熱や植林による森林保全など、二酸化炭素を減らした事業者から「削減したCO2量」にあたる環境価値を購入することで埋め合わせし、実質的に温室効果ガスが発生しない披露宴とするのが「脱炭素披露宴」の仕組みだ。
1トン分のCO2削減
今回村尾夫妻は、横浜市と協定を結ぶ岩手県一戸町のバイオマス発電所の1トン分のCO2排出量にあたる環境価値を個人購入した。
購入にあたり、会場のヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルがCO2排出量算出に必要なデータを提供。地域熱供給事業を行うみなとみらい21熱供給(株)が、排出量の算出やカーボンオフセットの購入代行を行った。計算によると、今回披露宴で排出されたCO2は0・0079トン。購入した1トン分のCO2は1世帯半年間の電力消費量に相当し「参列者が会場まで来た交通機関の排出分まで賄えるくらいの量」だという。
この他、通常使い捨てのスポンジに挿すことの多い装花を瓶に直接生けてゴミを削減したり、招待状の残り紙をメニュー印刷に使うなど資源の有効利用にも取り組んだ。
披露宴では新郎挨拶でプロジェクターを使いこれらの取り組みを「プレゼン」。雄太さんは「未来のことを考える結婚式の場で、未来につながる脱炭素の話に共感して頂けたのはよかった。今回『自分事』として取り組んだことで業務としても勧めやすくなりました」と話す。妻の茉紀さんも「夫らしさが出て、楽しんで聞いてもらえたと思う」と振り返った。
協力したみなとみらい21熱供給(株)では「脱炭素の意識が高まる中で、世の中を動かすきっかけづくりに協力できれば」としている。
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