雨宮クリニック=中区尾上町=院長の雨宮清さん(79)が、2024年度「日本対がん協会賞」を受賞した。長年にわたり婦人科がんの研究・治療に従事し、検診・予防の啓発にも尽力してきたことが評価された。
同賞は、対がん活動に顕著な功績のあった個人および団体を顕彰し、がん征圧運動の一層の高揚を図ることを目的としている。今年度は全国から4人、1団体が受賞した。雨宮さんは「僕でいいのかな、と思った。こんなに嬉しいことはないですね」と喜ぶ。
雨宮さんは1969年に慶應義塾大学医学部を卒業。子宮内膜がん細胞株の培養技術を活用した薬剤や抗がん剤の影響の研究に従事した。76年から横浜市のけいゆう病院に勤務し約30年、手術、抗がん剤治療、免疫療法などさまざまなアプローチでがん治療に尽力してきた。全国の先駆けとなった絨毛(じゅうもう)性疾患(妊娠中に胎盤をつくる絨毛細胞から発生するがんなどの病気)の登録事業では、新たな臨床分類を行い、関連学会へ提唱して採用され、全国の医療機関での治療に貢献した。
2005年、「がんは長く付き合っていく病気。担当していた患者を途中で見放したくなかった」と自身の患者が多かった中区で開院した。開院後は、経済的な理由でクリニックに来れない人や外国籍の住民からの相談も受けてきた。さまざまな国の人が集まる中区で、外国語が話せる看護師に通訳してもらいながら、多くの患者と向き合っている。
検診で早期発見を
婦人科がんの検診、予防の啓発にも力を注ぐ。「婦人科受診に抵抗がある人も多い。きっかけをつくれたら」。講演会を行うなどし、自身の身体と向き合うこと、早期にがんを発見する重要さを訴えてきた。雨宮さんは「閉経後の女性は婦人科にかからなくなる。変化に気づいた時にはがんが進行している場合も多い」という。「できれば1年に1回は検診を。積極的に発信して、意識を持って受診する人を増やしたい」と話す。
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