11月16日に西区の藤棚デパートメントで初監督作の映画を上映する 川口 ひろ子さん 西区西戸部町在住 73歳
チャンスの女神は日常に
○…「文藝」元編集者・長田洋一さんの姿を追ったドキュメンタリー映画の監督を務めた。きっかけは長田さんを含んだ酒の席での「本は残っても編集者は影武者」という会話。「だったら私が残そう」と昨年10月から撮影に入った。初の映画作り。試写会では「誰が何のために作ったのか」と言われ、シナリオを練り直した。「足跡をたどり、ただの良い人に終わるのは嫌」との長田さんの思いもくみ、完成させた。
○…「頑張ったら男女平等で未来は明るいという教育を受けてきた」と話す。結婚し子育てにいそしむ中、楽しそうに働く夫の姿に「私も何かしたい」と投稿誌を通じて出会った仲間と本の販売促進の会社を作った。長田さんとはその時からの縁。その後、業界紙のライターや知人の店で皿洗い、小説の執筆などさまざまな経験をしてきた。
○…亡き夫の遺志を継ぎ、現在は西区の「ヨコハマアパートメント」のオーナー。共有スペースと賃貸4戸からなる建物は「みんなで運営する」方針だ。「共に仕事をする人間関係が好き」と話し、住民と一緒に建物の修繕をする。近くの学童とイベントをしたり、ボードゲームの大会を開くなど地域交流の場にもなっている。15周年を迎え、11月10日には記念イベントを開催する。住人が結成した劇団の公演を行った後は、自ら料理を振る舞う予定だ。
○…映画のカメラマンには以前の住人が名乗りをあげた。「日常での出会いは宝物。チャンスの女神の前髪を掴むのがうまいのよ」と笑みを浮かべる。「完成したからには責任を取る」と、2年は腰を据えて上映会場探しに力を注ぐ。最近、一生に一度くらいはと髪の毛を伸ばし始めた。「今までやったことないことをやってみたい」
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