9月10日の「世界自殺予防デー」に合わせ、全国で「自殺予防週間」が10日から16日まで実施される。南区役所は2008年から職員が専門の研修を受けるなど、自殺予防事業を積極的に進めており、その後は自殺率が低下している。区は今後、自殺の兆候をつかむためのチェックなどに力を入れていく。
以前から南区は人口に対する自殺率が高い傾向にある。2008年度、南区で63人が自殺で亡くなった。人口10万人あたりの自殺率は32・1人で、市内では中区に次いで2番目に高かった。自殺者が多い傾向について、南区福祉保健課は「健康問題で命を絶つ人も多く、高齢者が多いことが関係しているのでは」と推測する。
職員研修を強化
区は09年度から他区に先駆けて重点事業として自殺対策に力を入れ始めた。区職員が自殺を未然に防ぐ「ゲートキーパー」と呼ばれる役割を果たせるようにと、専門家を招いて研修を行うなど、内部での意識向上に取り組んだ。福祉関係職員以外も自殺予防の意識を持つようになり、保険や年金に関する窓口で自殺をほのめかすような発言に職員が気付き、思い止まらせた例もあったという。
その後は民生委員を対象にした研修会を開始し、区民への啓発も強めた。同時に医師や弁護士などの関係機関との連携会議を開くなどもしてきた。さらに、医師会、薬剤師会と共同で相談先などを記したリーフレットを作り、連携を図った。
減少幅、市上回る
同課によると、14年度の区内自殺者は36人。10万人あたりの自殺率は18・5人で取り組みを強化する前に比べて大きく減少した。市内順位は4番目だった。南区の自殺率の減少幅は市全体に比べて大きく、独自事業の成果が出ているとも言える。減少傾向について同課は「取り組みとの関係は分からない」としつつも「職員の意識は高くなっている」と話す。
区は今後、窓口へ相談に来た人の生活状況などをチェックする専用シートを使い、自殺の兆候が見られそうな人を早い段階からキャッチする取り組みを始める。また、住民対象のゲートキーパー育成研修で自殺につながりやすいうつ病講座を行っていく。
予防週間に合わせ、5日から南図書館でパネル展を始めた。市民意識調査の結果や自殺防止法などを紹介している。19日まで。
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