六ツ川1丁目の糸縄神社にこのほど、「さざれ石」が設置された。今年6月に他界した粟飯原(あいはら)勉さん(享年72)が社長を務めていた六ツ川3丁目の造園会社「濱田園」が寄贈したもの。自宅にあった石を神社に置くことで地域の平和を願おうと、生前から計画していた。8月11日に除幕式があり、神社関係者は「鎮めの石として地域を守ってくれるだろう」としている。
さざれ石は、小さな石が長い時間をかけて固まり、一つの大きな岩の塊になったものを指す。石灰岩が溶解し、そこから出た乳状の液が小石を固まらせてできる。
国内では岐阜県で多く見られる。「君が代」の歌詞の由来となったとされるさざれ石は岐阜県の天然記念物に指定されている。神秘性があることから、鶴岡八幡宮=鎌倉市=など、大きな神社に置かれていることが多い。
知人から譲り受け
糸縄神社に寄贈された石は約8年前から粟飯原さんの自宅庭に置かれていた。防衛庁(現・防衛省)の元官僚で、現在は自衛隊員のOBらによる「神奈川県隊友会」の顧問を務める大沼肇さんから譲り受けた。大沼さんは「約30年前に知人から譲られた。自衛隊を支援する活動を通して粟飯原さんと知り合い、私と考えが一致する点が多く、石は粟飯原さんが持つべきだと考えた」という。
粟飯原さんの弟で、死去後に社長に就任した吉伸さんは「2年前から、兄は『石は六ツ川の氏神さまである糸縄神社にあった方がいい』と考えるようになった」という。その後、神社関係者らと相談し、境内に石を移設することを決めた。
石は幅約60cmで重さは約120kg。石を置く台座は濱田園が用意し、境内全体を見守るように端に置かれた。神社の例大祭が8月18日、19日にあることから、それまでに設置できるよう、準備が進められていた。
その中、粟飯原さんが6月18日に他界。吉伸さんは「みんなの幸せを願っていただけに、神社に置かれた石を見られなかったのは無念だと思う」と話す。8月11日にあった除幕式には氏子ら約40人が参加。宝積尚煕(たかひろ)宮司は「とても貴重な石。鎮めの石として、氏子やお参りに来たみなさんを守ってくれるでしょう」とあいさつした。
大沼さんは「神社に置かれ、ようやく気持ちがすっきりした」と話し、今後は子どもにも見てもらい、さざれ石の由来や地域の歴史も知ってほしいと願っている。
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