市立日枝小学校の住田昌治校長が校長として取り組んできた学校づくりや働き方改革などについてまとめた本「カラフルな学校づくり」を1月に出版した。「元気な学校は元気な教職員から」という合言葉を掲げ、教職員だけでなく、子どもの意欲を高めるために実践してきたことが綴られている。住田校長は「企業経営や組織作りにも役立つはず」としている。
住田校長は2010年に永田台小の校長になった。平和や国際的な連携を実践するユネスコの理想を実現する「ユネスコスクール」に県内で初めて認証されたほか、「ESD」と呼ばれる、持続可能な開発のための教育を推進し、「元気な学校づくり」の実践者として注目されている。18年に日枝小に異動した。
ESDの実践例などを通した学校づくりの過程を記録し、教育関係者に役立ててもらおうと、2年前から執筆を始めた。住田校長は「教員は多忙というイメージが広がり、なり手が少なくっている中、子どもたちの未来や希望を作ることにチャレンジする人が増えてほしい」と感じていた。また、ユネスコスクールやESDの取り組みは概念的で外部に説明しづらく、「永田台小の良さが伝わりづらいと思った」と振り返る。本にすることで、「普通の公立小が見違えるほど元気になった様子を知ってほしい」と願う。
「やらされ感」なくす
本では最初に校長の役割について触れている。「よい学校を創るためには、教職員がやらされ感を抱かないようにすることが肝要」とし、教職員とコミュニケーションを図り、何事も納得してもらって進めることが大事だとしている。その実践例として、職員室にカフェスペースを設け、お茶やコーヒーを飲み中ながら、歓談できる仕掛けを作った。「教職員のストレスを軽減させる『ケア』が重要」と訴える。
時間決めて効率化
住田校長は大学までバスケットボールに打ち込み、教員として教えたいと思っていた。1980年に小学校で教員生活を始め、ミニバスケットボールを指導。金沢区の学校では、後に日本人初のNBAプレーヤーとなる田臥勇太選手(現Bリーグ・リンク栃木ブレックス)を指導した経験もある。当初は毎日夜遅くまで練習し、土・日曜日は県外へ試合に出て行く厳しい練習を課した。しかし、全国大会出場へ自信を持って育てたチームが県大会であっさり敗れたことから指導法を改め、「練習は1日2時間」と決めると、子どもの集中力が増し、結果的に全国大会に出場できた。このことは後の学校経営にも生かされ、「会議は45分で終わらせる」など、業務負担の軽減につなげ、永田台小では「働き方改革」を先取りしていた。
学習指導要領の改定で20年度から小中の授業時数が増加する。「各学校が教育目標を実現できるよう、未来志向で続けられる方向性を考えなければいけない」と話す。
住田校長は「この本はマネジメントを行う企業経営者や団体の管理者にも役立つはず」としている。学文社から1944円で販売中。問い合わせは同社【電話】03・3715・1501。
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