絵画修復士として活躍し、3月24日に永田地区センターで講座を行う 青木 亨起(きょうき)さん 六ツ川在住 82歳
向上心いつまでも
○…イタリア公認で欧州共通の絵画修復士の資格を持つ。修復に関する講演を全国で行うが、住んでいる南区では初めて。「知人も多いのでかえってやりにくいかも」と微笑む。絵画修復の内容は大きく分けて2種類。絵画の表面保護やキャンバスの補強などを行う保存修復でいわば家具店の作業、欠損部への充填など、修復を行う美的修復で画家の作業。イタリアでは工房ごとの分業が多いが、その両方を行う。
○…広島出身。中学時代の成績は校内トップクラス。地元の高校に進み、「芸術系の大学に進学したかったけど」、就職が確実な東京の商船大学へ。卒業後は船舶会社を経て航空会社に。運行管理者として日本と世界の各地を転勤し、新航路の開設も担当。「新しいことをやるので面白かった」と振り返る。その間も日本画や洋画を学び、また、海外勤務の時はその国の大学の農学部で学んだりした。「新しいことが好きだし器用かな」。自分らしさを仕事でもそれ以外でも発揮してきた。
○…57歳で早期退職。フィレンツェの修復研究所に3年間通い絵画修復士の資格を取得。帰国後に工房や教室、美術作品の保存・修復センターを立ち上げ、理事長を務めるとともに、絵画修復や講演を行ってきた。
○…結婚後、子どもが生まれたのをきっかけに南区へ。「当時は周りが森や畑でうぐいすが鳴いていた」。以後54年が経つ。趣味の囲碁は四段の腕前。吉野町の会所に通う。「修復は座って作業するため、妻から体を動かした方が良いと社交ダンスを勧められているそう。全国に300人以上の弟子がいる。工房を持つには多くの道具や材料、場所も必要。「共同で工房を持てるよう後押しをしていきたい」と、この世界を盛り上げていく意欲を持ち続けている。
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