「訴訟最終告知のお知らせ」――こんな内容の「公的機関を装った架空請求はがき」に関する相談が横浜市内で急増している。市消費生活総合センターはこのほど、2018年度の相談件数が前年度比約3・5倍にのぼると発表した。送付された人の大半が50歳代以上の女性だという。同センターは新しい相談対応システムを導入するなど、被害防止へ対応に追われている。
はがきの送り主は「地方裁判所管理局」や「民事訴訟管理センター」など。一見すると公的機関のようだが、いずれも実在しない機関の名義だ。身に覚えがないからと問い合わせると、「あなたに訴えが提起されている」と告げられ、取り下げ費用10万円(一例)の支払いを求められる。応じるとさらに各種名目で200〜300万円の費用を請求されるケースが多い。
裁判所からの正式な訴状は「はがき」で送られることはなく、「特別送達(そうたつ)」という形式で裁判所の名前が書かれた封筒に入れられ、原則的に本人や同居人への「手渡し」によって届けられることが法律で定められている。
焦りから動揺
市消費生活総合センターの担当者は「冷静に考えれば『裁判の書類がはがきなんて変だな』と感じるはず。はがきの内容や期日が迫っていることに動揺してしまう人が少なくない」と話す。
60〜70代女性狙う
同センターへの相談は16年にはわずか16件だったが、17年に1127件、18年には3969件と3年間で一気に増えた。送付されたのは大半が女性で、特に60歳代と70歳代が全体の7割を占める。
警察署の担当者によれば、この世代に集中しているのは振り込め詐欺と同様に、何らかの名簿が悪用されていると考えられるという。「手口自体は昔からある。振り込め詐欺の電話同様、今はとにかく数が多い」と話す。
同センターでは集中的に100件近くの相談がある日もあり、この急増に対応しようと5月末から自動応答システムを導入。架空請求はがき・メールに特化したガイダンスを用意して、電話のつながりやすさを確保する取り組みも始めた。
同センターへの問い合わせは【電話】045・845・6666(平日午前9時〜午後6時、土曜午前9時〜午後4時45分)。
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