花之木町3丁目の旧南区総合庁舎の跡地について、市は8月29日、JR西日本不動産開発株式会社=大阪市=に売却すると発表した。売却価格は約11億5千万円。9件の応募から選んだもので、計画では建物は地上4階、地下2階で食品スーパーやスポーツクラブ、医療施設などの複合商業施設が設けられる。開業は2022年8月ごろの予定で、これまでの南区にはない商業施設が誕生する。
区庁舎の浦舟町移転決定後、市は約4400平方メートルの跡地を有効活用できるよう検討を進め、民間整備が可能と判断。公募売却することを決め、約11億5千万円の価格を示し、今年3月に公募を開始していた。
区庁舎だったことを踏まえ、跡地利用には医療や福祉、子育て支援施設などを含み、「区民全体の生活の質の向上に資するもの」と条件が付けられた。加えて、地域交流施設やオープンスペース、地域が利用する防災倉庫の設置も求められた。
6月下旬に応募が受け付けられ、9件の提案があった。これを市保有資産公募売却等事業予定者選定委員会が審査し、100点満点で最高得点の78・4250点を得たJR西日本不動産開発が事業予定者に選ばれた。同委員会は提案を「事業実績が十分あり、計画の熟度が高い。多世代の利用や区民全体の生活の質の向上に資することが期待できる」と評価した。
関西で「ビエラ」運営
JR西日本不動産開発は、JR西日本の100%子会社で駅ビル開発などを行う。大阪や兵庫などで商業施設「ビエラ」を24カ所運営。同社によると、旧区庁舎跡地の施設も「ビエラ」の名称を予定している。今回の公募に参加した理由を「関西・西日本エリアで培ったまちづくりのノウハウをベースに、首都圏でも”魅力あふれる街づくり”を推進し、地域・社会の発展に貢献したい」としている。
スーパーやスポーツクラブ
市の資料などによると、建物は地上4階、地下2階、延床面積1万6540平方メートル。1階から4階に総合食品スーパー、飲食、調剤薬局、スポーツクラブなどが入る。2階に医療施設(5科)、デイサービス、3階に子育て支援施設と地域交流施設(約309平方メートル)が入る。1階から3階にはオープンスペースを用意。防災倉庫は1階(約25平方メートル)。地下に約120台の駐車場を設ける予定。
核となるテナントについて同社は「契約前なので名前は出せないが、内定している」とコメント。医療施設の診療科目は「地域のニーズを考慮して決めたい」という。地域交流施設は「(かつてこの場所にあった)南公会堂が担っていた、地域住民の気軽な活動・発表の場になってほしい」とし、オープンスペースは「施設と街・周辺を訪れる人をつなぐ交差点・結節点として、にぎわいのある場所にしたい」と答えた。
地域スペースに期待
跡地周辺に住む町内会長の男性は「私たちが求めていた地域交流施設が使いやすいものになってほしい」と期待する。
市と同社は9月中に土地の売買契約を結ぶ。建物は22年8月ごろの完成予定。地域住民への建設工事予定を含む事業計画説明に関して同社は「市と相談してできる限り早く行いたい」としている。
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