中傷に負けず黒字達成
人気アイドルグループ「AKB48」にアルバイト契約で加わり活動していた「バイトAKB」の元メンバー・梅澤愛優香(まゆか)さん(23)が宿町にあるラーメン店「味のとらや」を経営していたことを昨年12月に自身がテレビ番組で公表して話題になっている。アイドル時代からラーメン好きを公言していた梅澤さんは、2017年にラーメン店を開業。フランチャイズ店を含めて東京や神奈川で4店舗を経営するまでになったが、SNSで「元アイドルとして宣伝している」と批判的な見方をされ、中傷されることもあった。そのため、昨年1月に「味だけで勝負したい」と自身が経営していることを明らかにせず「味のとらや」を開店し、1年を通して毎月黒字を達成。営業最終日となった12月31日には梅澤さんが店舗に立ち、多くの客を迎えた。
「バイトAKB」で活動
梅澤さんは14年春に高校を卒業後、バイトAKBの選考に応募し、約1万人の中から53人のメンバーに選ばれた。バイトAKBは求人情報サイトとのタイアップ企画で、14年10月から半年間、時給1千円の契約で劇場公演の前座やイベント出演などをしてきた。梅澤さんも高橋みなみさんや指原莉乃さんといった人気メンバーと同じステージに立ったり、NHK紅白歌合戦のリハーサルで出演メンバーの代役を務めるなど、華やかな舞台で半年間活動した。
活動終了後、48グループの正規メンバーなどを目指さず、以前から好きだったラーメン作りを追求しようと、自宅でラーメンの試作を繰り返した。2年間の試行錯誤の末、納得できる味が完成したことから、開業を決め、17年9月にラーメン店「麺匠八雲」をオープンさせた。
自身の経営 秘密に
「元アイドルがラーメン屋店主に転身」という話題性から、開店後はインターネット上で話題に。しかし、SNSでは「『元アイドル』と宣伝するのは卑怯」「味で勝負できないのだろう」「1年以内に絶対潰れる」などの心ない言葉もあった。梅澤さんは調理や接客をしているにもかかわらず「名前だけで本人は店にいない」と書かれたこともあった。こうした中傷にも「自分を成長させてくれる材料をもらえた」と考えた。そして、「そうではないことを証明したい」と自身が経営していることを公にせず、「味だけで勝負し、1年間、毎月黒字で営業する」という目標を課して「味のとらや」を19年1月にオープンさせた。同所には以前、別のラーメン店があり、横浜市内で物件を探していたことから居抜きで「とらや」の開店を決めた。
同じ味なのに…
「八雲」と同じ調理法で味噌ラーメンなどを販売。梅澤さんは週1回、閉店後に店を訪れ、食品の管理状況や清掃の様子をチェック。当初は不安定だった味も徐々に落ち着き、ラーメン通からも高い評価を得るなど、常連客を増やした。客の「懐かしい味がする」といった評判を伝え聞き、自信を深めた。それでも、梅澤さんによると、SNSで八雲の味に批判的だった人の中に、とらやを「おいしい」と評価する人もいたという。「フィルターを通して見ている人がいることを思い知った」と振り返る。
開店から約1年が経過し、目標である毎月の黒字を達成。12月上旬にはテレビ番組に出演し、「とらや」が自身の経営であることを初めて明かした。目標を達成したことから、とらやとしての営業は12月31日で終了。最終日には他店でしているのと同じように、割烹着姿で接客した。月に10食以上はラーメンを食べるという男性は「最初に来た時、塩ラーメンを食べてあっさりした味がとても気に入り、次は醤油、味噌と何度も通った」という。梅澤さんが店主であることを知り「びっくりしたけれど、元アイドルということは関係なく、何度も通いたい店」と評価した。
強い信念で壁に向かう
芸能人だけではなく、一般人もSNSで批判や中傷されることが珍しくない時代。梅澤さんは「中傷されて落ち込んでも、必ず何かをつかんで立ち上がろうとする強い心を持つことが大事だと思う」という。「好きなことを追求すれば、応援してくれる人がいる」と壁にぶつかっても強い信念を持って臨むことの大切さを伝えたかった。
1月からは相模原市で経営していた「煌龍(きりゅう)軒」をとらやの場所へ移転させ、新たなスタートを切った。メニューはこれまでと同様。春には鎌倉につけ麺店をオープンさせる予定。梅澤さんは「食べることに辿り着くまでの楽しさ、食べてからの喜び、そして食べてから満足していただけることを常に届けられる料理、店作りをしていきたい」と意欲を見せる。
南区版のローカルニュース最新6件
|
|
高田市議の後援会発足3月28日 |
|
|
|