市が4月運用開始
横浜市が4月1日から、スマートフォンなど携帯端末から音声によらずに119番通報できる「Net(ネット)119」の運用を始める。聴覚や言語機能に障害のある人などが、スムーズに通報できる環境を整える狙い。
Net119は、スマートフォンなどから専用サイトにアクセスし、消防隊や救急隊の出動を要請するシステム。画面上の質問に答えながら簡単に通報でき、詳細な状況はチャット形式で管制員とやりとりする。「ガラケー」と呼ばれる折りたたみ携帯電話にも対応しており、メールで詳細情報を伝える。携帯端末のGPS(全地球測位システム)を活用して、要請場所をスムーズに伝えられる点も特徴で、消防車や救急車の出動時間の短縮が期待される。
外国語にも対応
全国の自治体で導入が進んでおり、県内では厚木市や横須賀市などが取り入れている。横浜市の対象者は市内在住・在勤・在学で、音声による通報が困難な人(事前登録制)。障害者手帳の有無は問わないという。
市のNet119は音声通報と同様に、5カ国語(英語、中国語、韓国語、ポルトガル語・スペイン語)に対応。外国語対応は国内の導入自治体で初という試みで、市消防局司令課の職員は「市の外国人人口が10万人を超えているなかで、聴覚や言語機能に障害がある人も一定数いると考えています」と説明する。
「安心につながる」
聴覚や言語機能などに障害があり、障害者手帳を交付されている市民は約1万人(2018年度末)。こうした障害がある人や、病気や後遺症で発声が難しい人はこれまで、ファクスやEメールなどで緊急通報していた。しかし、素早い通報が難しく、外出先では正確な場所の把握が困難なケースもあるという。
瀬谷区聴覚障害者協会の遠山和保(かずやす)会長はこれまでの仕組みを「ファクスは外出時に不向きで、時間がかかり不便だと思う」とし、Net119については「通報しやすくなり安心につながる。操作も難しくなく、高齢者も利用しやすいのでは」とコメント。一方で、「圏外の地域でも通報できたり、より早く知らせられるシステムがあれば」と期待していた。
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