市立日枝小学校(住田昌治校長)の4年1組の児童がこのほど、ウガンダ共和国の子どもと巨大絵を共同制作した。児童はウガンダの衛生状況を知り、水の大切さを題材に学習を進め、図案をイメージ。絵全体を日枝小とウガンダの子どもが半分ずつ描いた。児童は「家でも節水をするようになった」と東アフリカの国から多くのことを学んだ。
絵の制作は、 一般財団法人「ジャパンアートマイル」=兵庫県=が全国で展開する国際協働学習。日本の子どもが海外の同世代と世界の課題を解決するために、自分たちができることを考えながら、その思いを壁画で表現するもの。市内の学校でも数校で取り組みが行われてきた。
日枝小は環境保全など、持続可能な開発目標「SDGs」を学校全体で実践しており、ジャパンアートマイルの取り組みを知って、4年1組が活動することを決めた。
児童は昨年4月、身近な場所と外国との関係を調べ始めた。その後、絵を一緒に制作するウガンダについて学習。国旗に国鳥のカンムリヅルが使われていることやトウモロコシ、バナナなどが多く食べられていることを知った。
アフリカの衛生状況知る
市内で行われたアフリカ関連のイベントに参加した際、衛生用品の製造・販売を行うサラヤ株式会社=大阪市=の社員でウガンダの衛生環境向上に取り組む森窓可さんに出会う。森さんは、ウガンダでは5歳までに命を落とす子どもが1000人あたり55人おり、その原因の感染症は、正しい手洗いをすれば防げることを説明。児童はウガンダでは日本のようにどこでもきれいな水道水が得られないことを知った。それを受けて、校内で水が無駄に使用されていないかをチェック。ベランダにあるエアコンの室外機から出る水に着目し、それをためて、育てているゴーヤーの水やりに使用するなどした。
半分ずつ描く
その間、ウガンダの学校とはメールを通して互いを紹介するなどして交流。現地の水や衛生状況を聞いた上で、絵のデザインをクラス全員で出し合い、案を決めた。絵は幅約4m、高さ1・5mで、左半分を日枝小が描き、日本から絵を受け取ったウガンダの子どもが残りの右半分を描く仕組み。4年1組は「水の大切さ」をテーマにし、蛇口から水が出る様子や虹のほか、ランドマークタワーなど、横浜の名所を描き、絵をウガンダに送った。
今年1月下旬に同校へ絵が戻ってきた。そこには、カンムリヅルや牛などの動物や川から水が流れる様子が描かれていた。同校が半分だけ描いた蛇口や虹もつなげられ、色鮮やかな巨大絵が完成した。
世界に思い寄せる
ウガンダの子どもの絵を見た児童は「自分たちの思いを分かってくれた」と遠く離れたアフリカに思いを寄せた。絵を描くだけではなく、節水や手洗いの重要性を知った女子児童は「私たちはきれいな水が手に入る恵まれた環境にいることが分かった」と話す。
担任の高橋諒子教諭は「子どもたちが水の大切さを知り、自宅でも節水を心掛けるなど、行動に移してくれたことは大きい」と児童が主体的に取り組みを進めたことが成果だとしていた。
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