新型コロナウイルスの感染拡大防止による一斉休校で、子どもの食事に困る家庭を助けようと、井土ヶ谷中町の中華料理店「チャイナ飯店」が3月3日からバランスのとれた定食を安価で提供している。販売対象は小中学生。店主の鐘本漢(かん)威(い)さんは「休校で子どもの昼食に苦労する家庭が多いと聞く。給食の代わりに食べてもらえれば」と話す。
同店は「食事の用意に困る家庭の役に立ちたい」と午前11時から午後3時のランチタイムに、小中学生を対象にした定食を販売。白米とスープのおかわりが自由で、「お腹いっぱい食べてもらいたい」との思いが込められている。
お小遣いで食べれるよう、価格は300円に設定。学校給食と同様に主食、主菜、副菜などを組み合わせた定食は日替わりで、麻婆豆腐や肉野菜炒め、豚肉の生姜焼きなどが出される。
食物アレルギーのある子どもにも安心して利用してもらおうと、アレルゲンが含まれないメニューの提供も行う。
孤食させない一心で
鐘本さんは「一斉休校後、公園のベンチに座って寂しそうに食事をとる子どもを目にする機会が増えた」と危惧。父・健豪さんの代から約30年、地元に根差した飲食店として何かしらの役に立ちたいと奮起し、「300円定食」の提供に踏み切った。
一方、新型コロナウイルスの影響で人を集めてはいけないという風潮が広がる中、「注目が集まりそうな企画を実施して良いのか」などの葛藤もあったという。
そんな中、後押ししたのは妻・愛さん。感染防止対策として、店内消毒のほか、営業中は窓を開けるなど換気を徹底。さらに、小学生3人を育てる”ママ友ネットワーク”を駆使し、共働きなどの理由で昼食の用意に困る家庭に呼び掛けた。
多い日には10人ほど来て、子どもたちからは「ありがとう」など、感謝の気持ちを記した寄せ書きが届けられている。
広がる支援の輪
仕入れた野菜を販売し、その売り上げを全額こども食堂に寄付する社会貢献活動にも取り組む。鐘本さんは「野菜の購入のほか、ご厚意で寄付してくれるお客様もおり、活動の支えになっている」と感謝の言葉を述べる。また、「今後も300円定食の提供とこども食堂の支援を継続して行っていきたい」としている。
同店ではウイルス感染を防ぐための消毒や換気を徹底するほか、食事後は長居せず、なるべく早く退店するように協力を呼び掛けている。
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