外国にルーツがある子どもや保護者の学習生活支援などを行っている中村町のNPO法人「信愛塾」(竹川真理子センター長)が新型コロナウイルスの感染拡大防止による一斉休校で食事に困る子どもを助けようと、3月19日に同所で「こども食堂」を開いた。自宅や学校以外の位置付けである「第3の居場所」としての役割を担う。
信愛塾は1978年、南区や中区に多い在日中国人や韓国・朝鮮人の子どもを支援する目的で設立した。現在は高校生までの約100人が登録。日本人のほか、10カ国以上に関係する在日外国人の子どもが通う。
日本語がうまく話せない子どもが学校の勉強を理解できるよう、火曜日と木曜日の午後に母国語を用いながら国語の文章題や数学、英語などを教えている。
竹川さんらスタッフは3日の一斉休校を受け、同所に通う子どもの各家庭を訪問。経済的に恵まれない家庭が多く、「頼りにしている給食が休校でなくなり、食事の用意に困っている」と悲痛な叫びが聞かれたという。
こども食堂を手掛ける南区内の施設も軒並み閉館となる中、臨時でこども食堂を始めた。
「食」の楽しさ知って
10日から週2回、親交がある飲食店などに昼食の提供を依頼。19日は市立蒔田中学校や県立横浜総合高校など、区内の公立学校でも食育支援を行っている料理研究家の長島由佳さんが訪れ、ちらし寿司とかき卵汁を振る舞った。
宗教上の問題や食物アレルギーの子どもも安心して食べれるよう、ちらし寿司の具材は後からトッピングし、かき卵汁には豚肉ではなく鶏肉を使うなどの工夫もした。
「子どもたちにはお腹を満たすだけでなく、食卓を囲む楽しさも感じてほしい」とスタッフが交代で一緒に食べた。一升のちらし寿司と大鍋に入ったかき卵汁、約20人分の食事はすぐになくなった。
勉強会も開催
信愛塾はこども食堂の後に勉強会も開催。休校中に出された宿題をやろうにも、日本語が苦手な外国人の子どもは特に文章題を解くのに苦労するという。
中国人の両親を持つ小学2年生と5年生の姉妹は「親が仕事で日中家にいないので昼食に困っていた。勉強も分からないところを教えてもらえるので助かる」と話す。
同所は来週以降も週2回、こども食堂を開催する予定。施設内の消毒や換気などのウイルス対策を徹底している。
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