薬物やギャンブル依存症者を抱える家族らによるNPO法人「横浜ひまわり家族会」(岡田三男理事長)による「薬物依存症者と家族フォーラム」が8月23日午後1時から、みなみん(南公会堂)で行われる。同会は家族の支援と同時に「依存症は病気である」ということを訴え続けており、偏見をなくし、正しい理解を広めようとしている。
家族会は1996年設立。2018年にNPO化された。薬物依存症者を抱える家族の約50人が会員として活動する。依存症当事者だけでなく、それを支える家族が悩みを話し合い「家族の回復・成長」を目指す。
月1回、南センター内の「南寿荘」を使い、家族同士が話し合う「家族教室」を開くほか、面接や電話での相談を行う。
家族の支援とともに取り組むのが、薬物依存症に対する正しい理解を広める活動。「依存症は病気である」ということを知ってもらうために、今回のようなフォーラムを開いている。
岡田理事長は「薬物依存症者を抱えると、家族は社会的な批判を覚悟しなくてはいけない。家族だけで何とかしようとしてうまくいかず、行政に本音で相談できない人がやっと家族会にたどり着く」と語る。同じ悩みを持つ人と話し合う中で「隠していた問題は自分だけではない」と気が付くという。岡田理事長は「家族会は誰を気にすることもなく、安心して話ができる場所で、希望が見える」と力説する。
「偏見なくしたい」
薬物所持や使用で有名人が繰り返し逮捕されると、センセーショナルな報道が先行する。一方、「依存症は病気」という認識も徐々に広まりつつある。岡田理事長は「ゲームやスマホの依存症も増えており、特別な人の問題ではない」という。ただ、これまで「病気」として対応していなかったために、行政も実態がつかめず、医療や回復支援のための施設や制度が整っていないと指摘する。横浜市はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致のために、実態調査を始めたばかりだ。「『薬物依存症者=犯罪者』という偏見をなくし、依存症という病気を抱えた障害者としてサポートし、普通の市民として普通に暮らしたいと願う。そのことを訴えていきたい」と話す。
フォーラムの共催者で、宿町にある支援施設「横浜ダルク・ケア・センター」には、依存症者約30人が通う。当事者同士のミーティングなどのプログラムを重ね、薬物に依存しない生き方を目指す。同所の山田貴志施設長は「孤立感や人とのつながりが切れてしまい、薬物に頼ってしまう人がいる」と話し、「依存症は病気であり、治療と同時にケアやリハビリが必要」と訴える。
23日のフォーラムは精神科医で奈良県のハートランドしぎさん臨床教育センター長の長徹二さんがオンラインで講演。アルコール・薬物問題を抱える人の家族が自分の回復のために必要なことを語る。岡田理事長は「コロナ禍で今まで以上に生きづらさを抱えて孤立化し、悪循環に陥りやすい状態にある。この生きづらさをどう変えていくのか、フォーラムでヒントを得てほしい」と呼び掛ける。
参加無料。定員200人で事前にサイト(http://himawari.yokohama/)から申し込む。詳細は同会【電話】045・475・2063(木曜日、午前10時〜午後4時)。
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