南センターや中村地区センターなど、南区内の公共施設6カ所などに8月から福島県会津若松市で発電された再生可能エネルギーが供給されている。横浜市が進める脱炭素化実現へ向けた取り組みの一つ。市は昨年12月から東北の連携先にある再エネ発電所の電気を市内に供給する実証事業を始めたが、この枠組みで公共施設に供給されるのは初めてで、今後の公共施設への広がりに期待している。
南センターなど6カ所
今回、再生エネルギー由来の電気を使用する施設は、南センター、中村地区センター、六ツ川一丁目、蒔田、別所の各コミュニティハウス、六ツ川スポーツ会館の6カ所。いずれも、特定非営利活動法人「みなみ区民利用施設協会」が市の指定管理制度によって管理・運営する施設。
脱炭素へ東北と連携
市は2050年までの脱炭素化政策を掲げており、再生可能エネルギー資源が豊富にある福島県会津若松市など、東北13市町村と再生可能エネルギーに関する連携協定を結んでいる。
市内への再エネ供給のため、市は昨年12月、株式会社まち未来製作所=中区=と協定を結んだ上で再エネを使う事業者の募集を始めた。
大規模ビルも
その結果、募集に応じた同協会と6事業者に会津若松市にある風力発電所で作られた電力が8月から供給されている。
再エネ発電所で発電された電気をまち未来製作所が買い取り、事業者に供給する際に小売電気事業者を入札で決めることで、事業者側は再エネを安価に利用することができる利点がある。
今回は同協会のほか、新栄重機土木株式会社=永田北=やみなとみらい地区で大規模オフィスビルを運営する株式会社野村総合研究所、野村不動産株式会社など全7事業者が名を連ねた。
市温暖化対策統括本部によると、7事業者合計で推定で年間700万kWhが供給されるという。これは、一般家庭の約1600世帯分に相当する。
同協会は再エネ導入に関し、「公共施設としても積極的に脱炭素に取り組んでいく必要があると思った」と理由を説明。
LED化進める
南センターは月間で約1万3千〜5千kWhの電力を使用。体育館もあることから、施設の中でも電力消費量が大きい。中村地区センターは使用する電気をLED化したことによって、月間6〜7千kWhで推移する。同協会の試算では、6施設合計で年間32万kWhが再生可能エネルギーに転換できるとする。これにより、1年で140トンのCO2削減につながると計算する。
同協会は今年6月、横浜市のSDGs(持続可能な開発目標)認証制度「Y-SDGs」の認証を受けている。今後も施設のLED化などを進めたい意向だ。
市は一部の市立小中学校に再エネを導入するなどしている。今回、東北との連携事業で公共施設が再エネ利用に取り組むことに関し、市同本部は「民間だけでなく、指定管理によって運営される公共施設にも広がっていけば」と期待する。
7月にあった再エネ受給開始式に参加した会津若松市の室井照平市長は「横浜市から提案をもらって共感した。経済活動に役立つようにしたい」と話した。今回の事業の電気代の一部は地域活性化資金として、会津若松市に渡されることになっている。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|