一般社団法人神奈川人権センター=横浜市磯子区森=はこのほど、「新・21世紀の人権―知っているようで知らない差別と人権の話」(発売/日本評論社)を編集・発行した。コロナ禍や五輪でさまざまな人権問題が噴出している昨今、事務局長の早坂公幸さんは「この本が、知っているようで知らない”人権”について考えるきっかけになれば」と話す。
前作「21世紀の人権」の出版から10年が経過し、法改正や条例整備がされ、人権課題も大きく変化している。そこで同センターは設立30周年の記念事業として、編集を開始。約1年半をかけて完成させた。
内容は被差別部落やアイヌ民族、沖縄、外国人、障害者、男女平等、子ども、高齢者、労働、企業など最新の人権課題を幅広く取り上げた。執筆は各分野の研究者や支援者、弁護士、当事者ら52人の専門家が担当した。「新しい執筆者も多く、10年前に執筆いただいた方には現代に即した形に書き直していただいた。中高生にも読んで理解できるような内容を心がけた」と早坂事務局長。7月から8月にかけ県内34自治体をまわり要請行動を行った際も、学校などの教育現場や公立図書館などで活用してほしい旨を伝えたという。「人権という視点は、いじめや被災者支援など現実の具体的な問題を考えていくときの柱になる。入門書として多くの人に読んでほしい」と話す。
「新・21世紀の人権」(B5版256ページ、2,530円)は書店やAmazonのほか、同センターでも購入できる。
五輪で課題噴出
新型コロナウイルス感染症の差別は、誰でも差別する側にもされる側にもなりうることを身近に感じさせてくれた。また、オリンピックを巡っては、組織委員会や開会式などで女性蔑視、障害者いじめ、パワーハラスメントなど、さまざまな課題が噴出した。「海外メディアが大きく取り上げたことで、日本社会の人権意識がまだ甘いことを感じた。意識改めるきっかけになれば」
一方で近年、さまざまな法改正などがなされたことにふれ、「法が変わることで、変わっていくことがたくさんある。どう生かすかはそれぞれの自治体の力が大きい。少しずつだが浸透しているのでは」と継続的な取り組みの重要性を指摘した。
外国人の人権知る
外国にルーツがある子どもや保護者の学習生活支援などを行う中村町のNPO法人「信愛塾」が、第5章「外国につながる人々と人権」の編集に協力。外国にルーツを持つ人々に対するヘイトスピーチなどの社会問題を提起し、それらの考察や解決策をまとめた。また、本の表紙などのデザインは信愛塾の福島周さんが手掛けた。
福島さんは「社会には、さまざまな差別が存在する。多くの人に本を読んでいただき、皆さんが暮らしやすい世の中になってほしい」と呼び掛けている。
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