蒔田や旧大岡村などの歴史を学び、地域住民に教え伝える市民団体「南区郷土の歴史研究会」がこのほど、室町・戦国時代の蒔田町にあった蒔田城と現在の位置関係をまとめた地図「まぼろしの蒔田城」を作り、9月中旬から地下鉄蒔田駅構内に掲示している。地図には蒔田城址にある名所を記し、散策しながら郷土史の理解を深め、まちの魅力を発信する。
吉良氏が領有
蒔田城の城主は足利将軍家の中でも高い家柄を有した吉良氏。現在の横浜英和学院の敷地内にあったと伝えられているが、築城年代が不明で発掘調査や歴史資料が少ないことから、「まぼろしの城」と呼ばれている。
1590年に豊臣秀吉が小田原の後北条氏を征伐したことで、後北条氏の配下だった吉良氏の蒔田城も廃城になったと言われている。
南区郷土の歴史研究会は約30人で構成。有識者を招いた講演会を企画するほか、地域を散策し、自分たちの目と耳で正しい歴史認識を目指す。
蒔田町周辺に移り住み、日が浅い住民に、歴史を通して地元の魅力を発見してもらえる方法を模索。授業のような座学ではなく、気軽に楽しみながら歴史に触れられる散策コースを示した地図を作ることに決めた。
2Kmの散策コース
地図はB4サイズ。地域の歴史に詳しい人への取材などを通し、約1年かけて作った。地下鉄蒔田駅を起点にした約2Kmのコースは城址周辺の見所をまとめた。
吉良氏の供養塔が残る勝國寺、鎌倉道から城に通じる唯一の道「つづら折れ坂」などの名所が書かれている。歴史の勉強に限らず、運動不足の解消にも期待できる。
地図は数百部発行し、蒔田町や大岡の住民に配布したほか、町内の掲示板や蒔田駅構内に掲示。多くの人に見てもらえるように工夫を凝らす。
同会代表の吉田欣司さんは「天候の良い日は、蒔田城址の小高い丘から富士山や丹沢山地を見ることができる。コロナ禍で遠出ができない今、地元の歴史や文化に目を向けてほしい」と話し、新住民との交流を増やしたいとしている。
「生涯、南区で」
同会は子どもに郷土愛を深めてもらおうと、地域の小中学校に地図を配布できないか検討。「生涯、南区で生活したい」と言う若者を増やし、次代に歴史を語り継ぐ人材の育成などを目指す。
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