六ツ川2丁目の県立こども医療センターで小児がん診療に携わる医療スタッフが昨年8月に立ち上げたボランティア団体「ちあふぁみ!」の活動が広がりを見せている。患者と家族の精神的、経済的側面を重視した支援が目的。地域の企業などの協力もあり、同センターに子どもが通う家族らが滞在する宿泊施設「リラのいえ」の宿泊費援助などの実現を目指す。
地元企業が応援
「ちあふぁみ!」は同センターの血液・腫瘍科医師の栁町昌克さん、横須賀とも子さん、看護師の岡部卓也さんが昨年8月、医療以外の側面でも小児がん患者と家族の力になりたいとの思いで立ち上げた。現在は同センターの医師、看護師、薬剤師など、約20人の医療スタッフで活動する。
県内を中心とした医療機関や飲食店、商店街、ロータリークラブなどからの支援を受けて、同センターにおもちゃ、絵本などの物資を寄付する。
昨年12月、新型コロナウイルスの影響で面会が制限される中、オンライン面会用のiPhoneを家族に提供するなど、コロナ禍のニーズに合った援助に取り組む。
治療以外で手助け
同センターは厚労省から県内唯一の小児がん拠点病院に指定される国内小児医療の最前線に立つ病院。白血病や骨肉腫などを克服するため、県内を中心に全国から患者が訪れる。その数は年間100人を超えるという。
栁町さん、横須賀さん、岡部さんは治療で多くの患者や家族と関わってきた。その中で患者のきょうだいや保護者が精神的、経済的に苦しむ姿を目の当たりにした。
横須賀さんと岡部さんは「交通費と宿泊費だけで月10万円以上を要する世帯もある。入院する子どもの親である20代〜30代の保護者にとって負担が大きい」と話す。包括的な支援に取り組みたいと考えた3人は同センターの了承を得て、昨年8月にボランティア団体「ちあふぁみ!」を立ち上げた。
活動に賛同した企業や個人が「ちあふぁみ!応援団」という形で「かながわ県立病院小児医療基金」を通して寄付金を納める。その寄付金を基に患者と家族に必要な支援を進める。六ツ川4丁目の宿泊施設「リラのいえ」に滞在する保護者への身体的なケア、子どもを楽しませる手品などの特技での支援も募る。
活動の幅広がる
チラシなどによる地域への発信が実り、今は約50者から寄付金を受け取る。団体の広報役を務める看護師の安藤和美さんは「支援の輪が広がれば活動の幅も広がる」と話し、支援者に感謝する。
支援の輪が広がったことで新たな取り組みを画策。患者のきょうだいに絵本のプレゼント、リラのいえに長期滞在する家族の宿泊費援助、医療を受ける子どもの心理的ケアを行う専門家「こども療育支援士」などの雇用を検討している。
栁町さんは「小児がんの子どもは長期に及ぶ入院で地元の人間関係などに悩むことが多い。退院後、自然と学校生活になじめるように、周囲に病気への理解を呼び掛けたい」と話し、講演会にも力を注ぐとしている。
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