南区内の市立中学校は食品ロスの削減に貢献しようと、酒造会社で余った県内産酒米を学校給食で10月11日から提供している。新型コロナウイルスの影響で日本酒の供給量が減り、在庫として残った酒米の消費に困る酒蔵や農家の支援などが目的。地産地消を通し、生徒の食育推進に向けた機運を高める。
コロナ禍で15トン残る
この取り組みを考案したのは、県内で学校給食や弁当の製造などを手掛ける株式会社安田物産=大和市=。同社と取引がある酒蔵、泉橋酒造株式会社=海老名市=は新型コロナによる外食需要の減少により、日本酒の供給量が減った。それにより、約15トン(一升瓶約1万9千本分)の酒米が余った。
泉橋酒造から酒米の消費方法について相談を受けた安田物産は、給食を提供する南区と緑区の市立中学に協力を依頼。食育推進を図る学校側と利害が一致し、10月11日から約2週間、給食で酒米を出している。
酒米用の県内産コシヒカリを食用に精米し、白米として使用することを横浜市教育委員会に承諾してもらった。2区分で一日当たり約2千食におよぶ。もちっとした食感が特徴で、食用と遜色がないという。
食材に興味関心を
横浜市は今年度から「ハマ弁」を学校給食法に適応させ、市立中学で注文制の形で給食の提供を開始した。新1年生の保護者向け説明会などで給食の意義や魅力について発信した永田中学校は、全校生徒564人のうち毎日約140人が注文する。「ハマ弁」だった昨年度に比べて注文する生徒が増えたという。
しかし、選択制や注文率が約25%であることを問題視する声もある。注文率の向上に向け、同校の永山泰士校長は「子どもが食材そのものに興味関心を持ち、給食を注文するメリットを感じてもらえる活動が必要」と分析する。そんな中、安田物産が考案した取り組みは大きいという。
中学生は社会科などの授業で、国連が環境問題などの解決を掲げた17の目標「SDGs(持続可能な開発目標)」について学ぶ。授業で地産地消の取り組みなどが紹介されるが、それらを見て触れる機会は貴重だ。
永田中2年の齋藤彩綾さんは「地産地消が食品ロスの削減になることを給食を通じて知れた。残さず食べたい」と話し、日常生活でも意識したいとしている。
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