横浜市は、希望する認可保育所に入れなかった「保留児童」の解消に向け、今年度、課題になっている1歳児枠の拡大に対する助成など、既存施設への支援メニューを打ち出した。従来の新規整備での受け皿拡大から、より細かなニーズに対応する既存資源の活用がより鮮明になった形だ。
保留児童は、「隠れ待機児童」とも呼ばれ、待機児童のうち、認可保育所へ申請したが、希望通りの保育所に入所できなかった児童などを指す市の呼称。
市が5月11日に発表した資料によると、今年4月1日時点の就学前児童数は16万784人で前年度から4765人減っている。待機児童数は前年から5人減の11人だったのに対し、保留児童数は95人増の2937人。南区の待機児童は前年から1人増えて2人、保留児童は34人増えて160人だった。
市全体の保留児童のうち、1290人は育児休業の延長を希望している人。育児休業は原則として子どもが1歳になるまで取得できるが、保育所に入れないなどの場合は、2歳になるまで延長することができる。
保留児童のうち、育休明けで申請数が多くなる1歳児は、1654人で56・3%を占め、「大きな課題」とされる。
余剰分を振り分け
市は今年度、対策として3〜5歳児枠を削減し、新たに1歳児枠を拡大する施設に1人あたり25万円の補助を用意。これにより3〜5歳児が定員割れ、かつ1歳児が保留になっている園などに対し、余っている定員分の振り分けを狙う。
さらに、より保育ニーズの高い港北区と戸塚区をモデル地区とし、概ね10年以上の施設を対象に中規模改修費用の一部補助も開始。1、2歳児の受け入れのための改修には加算も行う。
「反応も見ながら、来年以降は他区への展開も検討する」と市担当者。市内の保育園は支援策について、「途中入園の可能性も考えると定員は簡単に変えにくいが、補助があれば検討しやすくなる」と評価する。
定員割れ園が増加
これまで市は、新規整備を中心に全体の受け入れ枠を拡大。前年度に34カ所を新設した2017年4月には、待機児童数が2人となるなど一定の効果を示してきた。
一方で少子化などを背景に定員割れの園も増加。18年以降、既存園の定員変更にも舵を切ったが昨年度まで補助などは行っていなかった。
市は「就学前児童数の減少や、ニーズの高い地域と定員割れのギャップなど、よりピンポイントな需要に対応していく必要がある。今後も既存資源を活用していく流れになる」と話している。
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