こども医療センターの患者家族らの宿泊施設「リラのいえ」を運営するNPOの事務局長を務める 谷畑 育子さん 六ツ川在勤 46歳
悲しみの先に見えた希望
○…2012年に4歳の娘を病気で亡くした。自身と似た境遇の患者家族の力になるべく、16年から「リラのいえ」の運営に携わる。「難病の子どもを持つ家族の経済的・心理的負担を軽減するお手伝いができれば」と責任感をにじませる。
○…12年前、長女の寄り目に気付いて病院に連れて行くと、脳幹部に腫瘍が見つかり、余命宣告を受けた。こども医療センターに入院して放射線治療を受ける長女に面会するため、磯子区の自宅と病院を車で往復する日々で、帰路の車内で涙を流していたという。そんな時、夫の「娘の残された時間を最高の時間にしよう」という言葉が背中を押した。「現実を受け入れる覚悟ができた」といい、長女の友人からのビデオメッセージを見せるなどして闘病を支えた。12年5月、長女は天国へと旅立った。「家族との時間が当たり前ではないと娘に教わった。悲しみの先に希望の光も見え、家族の絆が一段と強まった」と前を向く。
○…同センターがきっかけでリラのいえの存在が気になり、長女と同じ病気で子どもを亡くした職員が利用者に寄り添う姿に胸を打たれた。「娘に付き切りの時、近所の人が長男の世話をしてくれたりと、自分は恵まれた環境だったと思い知った。今度は自分が誰かの役に立つ順番」と考え、施設を運営する認定NPO法人「スマイルオブキッズ」に入職した。娘の闘病中に不眠などに悩まされた経験から、利用者の体調に気を配る。
○…事務局長として地域とのつなぎ役を担う。地元に根差した施設運営を心掛け、患者家族に提供する食事を南区内の飲食店から仕入れる。「予算に限りがある中、お店の方々に融通を利かせていただいている」と感謝し、人情に厚い土地柄が好きだという。
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