小児専門病院「県立こども医療センター」の総長を務めている 黒田 達夫さん 六ツ川在勤 66歳
師の教えが医師の原点
○…国内小児医療の最前線に立つ病院の舵を取る。母校の医学部教授を経て、昨年4月に就任した。「オーケストラに例えると、総長が指揮者で職員が演奏者。演奏者が良い音を奏でられるようにマネジメントしたい」と独自の感性で語る。
○…中学の英語の授業で、脳腫瘍で亡くなった子どもの闘病記を読み、小児外科医を志した。應義塾大学を経て、医師となり、米国の総合病院などで研鑽を積んだ。”小児外科医の師匠”と仰ぐ亡き上司の「手術に失敗はあり得ない」という言葉を胸に刻む。手術当日まで何度も患者のレントゲン写真を確認するなど、「絶対に手術を成功させる」という気迫に心を打たれたとか。「病気を治すことだけが医師の仕事ではない」とも教わり、患者と家族の精神的ケアを重視。子どもの病気に責任を感じる親には、医学的観点から「親御さんのせいではありません。自分を責めないで」と励ます。「子どもの病気で周囲から心ない言葉を言われる患者家族を守るのも医師の役目」と責任感をにじませる。
○…東京都出身だが、母親の故郷の二宮町をよく訪れていたことから「神奈川は昔からなじみがある」と愛着を持つ。「今以上に県民にとって親しみやすく、誇りに思い、頼りになる病院にしたい」と穏やかな性格ながらも熱い思いを胸に秘める。業務のほか、小児がんへの理解を呼び掛ける活動を行うなど、根から子ども思いの職員が多いのも魅力だという。
○…自動車エンジニアだった父親の影響でドライブが趣味。家族を連れて旅行に行くのが息抜きになるという。息子も医師。特別な助言はないというが「これから先も患者さんを第一に考えてもらえれば」と話し、恩師から受け継いだ精神を次世代につないでいく。
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