横浜市が特別養護老人ホームの待機者減少を目指し、2024年度予算案に介護医療院の整備など、新たな対策を掲げた。これまでの施設の新規整備に集中する方針を改め、医療的ケアや経済的な理由で入所しづらい待機者への助成など、ソフト面の支援に力を入れていく。
市内には現在、171カ所の特養があり、定員は約1万8千人。待機者は24年1月1日時点で4793人。
現在の集計方法で19年4月には6802人の待機者がおり、入所まで約1年待つこともあったが、現在は約7割が申し込みから半年以内に入所できているという。
市ではこれまで待機者対策として、施設の新規整備を第一選択肢としてきた。しかし、施設を増設しても一定数の人がなかなか入所できない状況にあり、市が改めてヒアリングしたところ、▽医療的ケア▽認知症による行動・心理症状▽経済的理由――の3つの原因で入所が難しい状況が分析された。
増設からソフト支援へ
そこで、市は今後、その3つの課題に応じた取り組みを実施する。
まず、医療的ケアを必要とする待機者への対応として、「介護」と「医療」の両方の機能を併せ持つ「介護医療院」を今後3年間で150人分程度整備する。同院整備への補助制度は県内では初めて。
認知症による行動・心理症状を有する待機者への対応では、夜間の介護職員を配置できるよう、施設に助成。また、専門医と連携し、受け入れ体制づくりのモデル実施と情報共有を目指す。
経済的理由の待機者へは、ユニット型(個室)を利用できるように一部の所得階層を対象に、市独自に新たに居住費を助成する。
「思い切った施策」
市健康福祉局の担当者は「ここまで思い切った施策を講じるのは横浜市としては初めて」と説明。24年度から26年度にかけて700人分の特養の新規整備も計画する。担当者は「今回の施策で在宅で大変な方々が少しでも早く希望する施設に入所でき、安心して日常生活を送ることができれば」と話す。
予算案は現在開会中の市会で審議され、3月26日に議決される見込み。
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