市立太田小学校(丸山稔校長)の6年生が3月16日、三浦半島の先端にある「小網代(こあじろ)の森」の保全活動を行うNPO法人に寄付を行った。5年生の時に宿泊学習で森を訪れ、貴重な自然を守るためにできることを考え、オリジナルのサイダーを校内外で販売し、その収益金を寄付に充てた。6年生は卒業するが、児童からは「小網代の森のことを下の学年にも伝えていきたい」との声が出ており、森を見守り続けていく。
自然残る小網代
小網代の森は相模湾に面した約70ヘクタールの森。森林と湿地、干潟、海までが連続して残る関東で唯一の自然環境として知られ、アカテガニなど、2千種の生物が棲むとも言われる。
1970年代にゴルフ場や住宅開発計画が持ち上がったが、市民による活動などにより、森を保全する方向となった。2010年に神奈川県が大規模な土地買収を行い、その後は環境学習の場として活用されている。
4年生から題材に
太田小は、京急沿線で訪れやすい場所ということもあり、20年から環境学習の題材として小網代の森に着目するようになった。4年生で森について学び、5年生は宿泊学習で三浦を訪れ、森の散策などを行い、多年草の「ハマカンゾウ」を植える体験もしている。
現在の6年生が5年生時に森を訪れた際、ナビゲート役で保全活動を行うNPO法人「小網代野外活動調整会議」のメンバーから、コロナ禍で企業からの寄付金が減り、活動に困難が生じていることを聞いた。これを受けて児童は「小網代の森のために自分たちが何かできないか」と考えるようになった。
サイダー販売で収益
児童は小網代の森が貴重な存在であることやそれを守る活動の重要性を紙芝居にして全校に呼び掛けた。さらに、同校と連携事業を進めていた「オリツルサイダー」で知られる坪井食品=中区=の協力を得て、「小網代助けてくだサイダー」というオリジナル商品を作り、学校行事などで販売。保護者や学校周辺の町内会の支援もあり、収益が出たことから、同会議への寄付を決めた。
16日、卒業式を間近に控えた6年生代表3人が森の近くにある三浦市の小網代インフォメーションブースを訪れ、同会議代表で慶應義塾大学名誉教授の岸由二さんに寄付金の目録を手渡した。児童の一人は「小網代には豊かな自然がある。この森のことを下の学年にも伝えたい」と話した。
岸さんは「児童からの寄付は初めてでうれしい。植えてもらったハマカンゾウを大切にし、活動を三浦の子どもにも広げたい」と話した。同校の丸山校長は「遠くない場所なので、卒業後も森を訪れてくれれば」と今後も自然を守る心を持ってほしいとした。
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