宿町の「よこはま里山研究所NORA」の理事長として里山保全に取り組む 松村 正治さん 42歳
里山が生む多様な価値観
〇…市内を中心に里山の保全、農業体験などを行うNPO法人の理事長として約120人の会員をまとめながら活動する。NPO法人取得10周年を記念して1月22日に行うフォーラムでは、この10年を振り返りながら、これからの活動を考えていく。「南区の中でさまざまなスキルを持った人が里山を切り口にコミュニティづくりに取り組んでいる点を見てほしい」と節目のイベントを前に意気込む。
〇…多摩丘陵の里山に近い町田で生まれた。1986年のチェルノブイリ原発事故などを見て、地球環境に関わる仕事がしたいと、大学卒業後に環境コンサルタントの職に就く。4年間、環境調査を行う中で「自分の足元を知らなければ」と自宅近くで行われていた市民による森づくり活動に飛び込んだ。「都市の生き辛さを里山が癒してくれた」という。その後、横浜市内の里山保全関係の10団体が連携し、活動を展開。それが発展し、2000年にNORAが設立され、翌年にNPO法人になった。
〇…活動資金の面から一時は宿町の事務所から撤退することも検討したが、「場を持つことが重要」との考えから、存続させた経緯がある。当初は森と市民をつなぐ行政からの受託事業が中心だった活動も、10年間でメンバー自らの得意分野を基盤にする方針に転換。旭区の川井緑地での森づくりや神奈川産の野菜販売など、広がりを見せた。「里山にはいろいろな関わり方ができる。それは人々の多様な価値を認めることでもある」と真剣な眼差し。
〇…現在は多摩市の恵泉女学園大の准教授として環境社会学を教える。一昨年、相模原市に家を建てる際には「地図で緑がある場所を探してそこに決めた」と笑う。私生活の中でも自然との関わりを欠かさない。「自然という変えられないものに合わせて生きる」。近くにあるのに知られていないという里山をフィールドに自然の魅力と多様な価値観を発信していく。
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