外国人の子どもや保護者ら支援する活動を行う中村町1丁目のNPO法人「在日外国人教育生活相談センター・信愛塾」がこのほど、「横浜文化賞」を受賞した。創設から36年間、学校や地域との信頼関係を築き、子どもの学習や生活面を支援し続けたことが評価された。信愛塾は「外国に関係する子どもが増える中、足元からの国際化を進めたい」と国籍が異なっても存在を認め合う共生社会づくりへ向けた活動を続けていく。
同賞は芸術や教育、スポーツ振興など、文化の発展に貢献した個人や団体に贈られるもので63回目。今年は信愛塾以外に俳優の別所哲也さんなど4人が受賞した。これまで、南区からは落語家の桂歌丸さん(1991年)や報道写真家の浜口タカシさん(1997年)らが受賞している。
信愛塾は1978年、南区や中区に多い在日韓国・朝鮮人の子どもを支援する目的で中区山下町に設立された。その後、3度移転し、2001年に現在の場所に移った。
センター長を務める竹川真理子さんによると、設立当時、外国籍の子どもには市から就学通知書が届かず、学校教育を受けづらい環境にあったという。そのため、基礎学力を身に付けてもらおうと、小中学生らに学校の勉強を教えることを始めた。
年600件の生活相談
竹川さんは「区役所などの公的機関に相談するのをためらう人もいる」と保護者からの生活相談にも対応してきた。こうした努力が評価され、存在が市内外に知れ渡るようになった。
現在、南区を中心に、周辺の学校に通う中国やフィリピン、タイ、インドネシアなど10カ国以上に関係する高校生までの約100人が登録。火曜日、木曜日の午後に日本語や宿題を教える教室を開き、元教諭や信愛塾で育った大学生など10人が指導している。
生活相談は経済的な困窮や在留資格など、年間600件以上寄せられ、内容に応じて専門機関との橋渡し役を務める。また、区役所や学校から相談やアドバイスを求められることもある。
学校も信頼
南吉田小学校の藤本哲夫校長は「学校ではカバーしきれない生活面でも親身になって対応してくれており、頭が下がる思い」という。
最近は、日本との政治的な関係を理由に子どもがいじめに遭うこともあるという。事務局長の大石文雄さんは「子どもは外交官ではない。それを大人が気を付けなければ」と話す。信愛塾は10月10日から、市の委託を受け、在日外国人や人権を考える講座を開き、共生意識の醸成を図る。
活動資金は支援者からのカンパが大半で大石さんが「常に自転車操業」という中、36年間活動を続けてきた。竹川さんは「受賞は子どもや保護者のおかげ」と話し、今後も「学校、保護者、地域とスクラムを組み、子どもを守る活動を続けたい」と”足元からの国際化”を進めていく。
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