陸上400mハードル元日本記録保持者で11月24日の「走り方教室」で講師を務めた 苅部 俊二さん 蒔田町在住 45歳
「世界の走り」次世代に
○…「みなっちランニングフェスタ」で開かれた講座で小学生に走り方を指導。世界の強豪と戦うために磨き続けた”本物の走り”を披露し、親子を魅了した。「南区で生まれ育ったので地元に貢献したい。子どもたちにオリンピックを身近に感じてもらえたら」と優しい眼差しで語る。
○…蒔田小6年生の時、市内の陸上大会に出場したが「100mで30番目くらいだった。足は特別速くなかった」と振り返る。長距離を専門にしていた蒔田中の陸上部では「ほとんど練習せず、サボってばかりいた」と苦笑い。目立った成績を残せずにいたが、南高校1年の時に出場した県大会が分岐点になった。上位選手に与えられる関東大会の切符をあと一歩で逃すと、悔しさと同時に込み上げた思いは「しっかり練習すれば上が狙える」という手応え。以降、人が変わったようにトレーニングに励むと、3年生で出場した400mハードルで全国2位に躍進。1991年に東京で開催された世界陸上に大学生で出場するなど、国内トップ選手の仲間入りを果たす。
○…けがが響き、五輪出場を逃した92年の教訓から、「その後は狙った大会でコンディション作りを誤ったことがない」ときっぱり。自らの体と厳しく向き合い、93年に400mハードルの日本記録を樹立。96年には「言葉では表現できない場所だった」という五輪の夢舞台に出場。マイルリレーでアジア記録を打ち立て、5位入賞を果たした。
○…車好きで、中型バスの運転もお手のもの。「細い道を走る時はゲームのような感覚」と無邪気に笑う。教授を務める法政大学ではスポーツ心理やコーチングを担当。同校陸上部の監督としても指導にあたり、選手には「全てを教えるのではなく、ヒントを与えている。表面上の指導では響かない」と心から寄り添う。「何かがきっかけになって急成長する子もいる。刺激を与えてあげたい」。世界と渡り合った経験を伝え続ける。
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