横浜市は、市立市民病院がん相談支援センター=保土ケ谷区=にがん患者とその家族を対象とした就労支援相談窓口を7月から開設した。がんに罹患しても働き続けたい希望を持つ人の相談に社会保険労務士が応じる。市は今後、市内のがん診療連携拠点病院などに窓口を設置していく予定で、患者への就労支援を拡大していく。
治療と両立目指す
厚生労働省によるとがん患者のうち、3人に1人が就労可能な年齢で発病。就労が困難になった際の相談、支援体制の整備が求められている。近年のがん治療は化学療法など外来でも可能で、治療と仕事の両立も課題となっている。
こうした状況を受け、市民病院内には2013年からハローワークの出張窓口が開設された。転職や再就職のための相談に応じ、相談の中には「現在の会社で働きながら治療をしたい」といったものも寄せられており、市では「雇用や労務関係の潜在的な相談ニーズがある」と判断。労働問題や年金、社会保険の専門家である社労士を派遣することで、治療と仕事の両立の課題解消を図る。
また、市では昨年「がん撲滅対策推進条例」を制定。条例の中には、市の責務として雇用を含めた施策の展開を定めており今回の社労士相談はその一環となる。
社労士が対応
7月から始まった相談窓口は毎月第1木曜日の午後1時から4時30分に開設。原則予約制で社労士とがん看護専門看護師などが一緒に対応する。専門看護師が相談に加わることで、患者の病状や治療の状況に合わせた労務相談を可能にさせる。主な相談の内容は▽会社の制度の利用方法▽人事労務担当者への相談の仕方▽治療や休職をするにあたって利用できる保険、手当金、給付金の状況――など。市民病院に通院していない人でも相談できる。
医療局の担当者は「仕事をしているということは患者にとって収入源があるということでとても大切。企業にとっても貴重な人材を失わずに済むことにつながる」と話す。
県立施設で先行実施
県立がんセンター=旭区=でも昨年10月から県のモデル事業として社労士相談を行っている。3月までで28件の相談があり、1日平均は1・2人。県の担当者は「患者の中には病院は治療をする場で仕事関係の相談をするという認識がまだ少ないのでは」と周知に対する課題を話す。
市では、がんセンターでの状況を踏まえ、市民に積極的に周知を行っていきたいとしている。
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